吉川ひなの「母を許せない自分」を許すことから 「許す神話」は、自分を歪めてしまう一因にも
子どもたちに対して、必要以上に口出しせず見守ってきたという吉川さん。「とにかく尊重と信頼を大切にしようと思って接してきた」と話します。
「長女は2歳くらいの時から出かける時の荷物は自分で用意しているので私はチェックしていません。すると忘れ物をすることもあるし、学校に持って行ってはいけないものを入れてしまうことがあります。そういう失敗がないように、事前に親が完璧に防ごうとするよりは、娘が先生やクラスメイトと『これはなぜ持ってきてはいけないのか』など、話し合うことのほうが大事だし、彼女にとってもいい経験になると思っているんです。
宿題についても同様で、私はどんな宿題が出ているのか、基本的には知ろうとしません。それは子供たちの領域だと思うし、『手伝って』と言われたら、喜んで全力で手伝うけど、その前にこちらから介入することはしていません。宿題を忘れたり、クラスで自分1人だけ課題が期限に間に合わないという経験だって、子供たちにとって大切な学びだと思います」
子どもたちと接するうちに「自然とそうしたほうがいいと思うようになった」といいます。
「長女がおしゃべりできるようになった頃から対等に話をするようになりました。お出かけする時は『何を着ていく?』と相談したり、外出先で『ママ、髪を結びたくなったからヘアゴム持ってたら貸してくれる?』と娘に聞いてみたり、女同士の会話を楽しむ中で子どもの意思を尊重したほうがいいのかなと思うようになった気がします。
長女が小学校1年生の時の担任の先生の存在も大きかったと思います。子どもたちを尊重する姿勢を示してくださって、『子どもたちをルールで縛りたくない、何を持ってきていいのか、いけないのかは皆で話し合って決めます』と言ってくれました」
最近の子育ての様子を尋ねると、3人目の次女が生まれてからは手が回らないことが多くなってきたといいます。
「こんなカオスが訪れるとは思っていませんでした(笑)。長男と次女は年が近いので張り倒しあっているし、仕事のメールを返している時に3人から同時にずっと話しかけられていると余裕がなくなります。
そういう時は正直に『そろそろママはいっぱいいっぱいかもしれません、協力してくれる人はいますかー?』と助けを求めます。すると長女や次男が正義のヒーローモードになって、ママを助けるためにサービスをしてくれたりして何とかやっています。誰かが優しくなると、”どれだけ優しくできるか大会”みたいになるのがすごく好きですね」
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