元宝塚「華麗なる世界、実力主義」転身後のリアル スターへの夢はかなわなかったが、経験は生きる
多様化するタカラジェンヌのセカンドキャリア
早花さんは2002年に宝塚歌劇団に入団し、雪組で娘役として活躍。2020年の退団後に文筆業の道を歩み出した。『すみれの花、また咲く頃』は9人の元タカラジェンヌにインタビューし、現役時代の紆余曲折や退団後のセカンドキャリアへの挑戦について取材した連載を書籍化したものだ。
タカラジェンヌといえば世間一般では「容姿端麗」でかつ「良家の子女」といった印象がある。宝塚卒業後は、黒木瞳や天海祐希、真矢ミキのように女優として芸能界で活躍するOGもいるが、かつては「理想のお嫁さん候補」とも言われ、結婚して家庭に収まるケースも多かった。
しかし、現代では卒業後の選択肢も多様化。同著には退団後にすぐ医療系大学に進学した元花組男役の鳳真由(おおとり・まゆ)さんや、ベトナムに渡り日本語講師を務めた後、日本の企業と外国人技能実習生の橋渡し役を担っている元雪組男役の香綾(かりょう)しずるさんのセカンドキャリアも取材している。
――実際に早花さんの周りのタカラジェンヌは退団後、どんな進路を選択している方が多いのでしょう?
「舞台の仕事を続ける方もいますし、バレエや歌の指導者になる方も多いです。ヨガやピラティスの講師や、体のメンテナンスのサポートに関わったり、会社員として働いたりするケースも。もちろん結婚して子育てをする方、いいところのお嬢さんで優雅に暮らされている方もいます。これは宝塚に限った話ではないでしょうけれど、結婚してもお仕事を続ける方も増えてきましたし、選択肢は時代と共に広がっているような印象があります」
――在団中に、セカンドキャリアを見越して準備をするような時間的な余裕はあるのでしょうか?
「私自身はあまりなかったです。在団中は、いつも公演やお稽古でスケジュールに追われている感じがありました。お休みはあるのですが、体のメンテナンスやお仕事に必要なものを買いに行ったり、舞台で使うかつらのセットをしたりと、常に予定がある。私ですらそうだったので、スターさんはもっと自由な時間がなかったかと思います。
ただ、今回取材をした中では、鳳さんはお稽古をこなしながらも大学受験の準備もされていたそうですし、興味のある分野について調べたり休みの日に勉強していたという方もいて、すごいなと感じますね」
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