腰痛で悩む人が知らない「痛みを防ぐ体の使い方」 柔軟性を高めておきたいのは「腰」ではなかった

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椎間板にかかる圧力は仰向けに寝ることで4分の1ぐらいに軽減しますから、立ち仕事をしている人は休憩時間にはイスに深く座って背もたれを倒し、足を台の上に乗せ、仰向け姿勢に近づけて休むようにしてください。

座り方にも注意が必要です。

現在は、仕事でも移動でもくつろいでいるときでもイスに座る時間が極端に長くなっていますから、座り姿勢にも注意が必要です。普通にイスに座ると、椎間板にかかる圧力は5割増しになります。

腰の負担を最も減らすには、イスに深く座って、背もたれに寄り掛かって上半身の重さを預けることです。ただし、この座り方だと作業を行いにくいのが難点です。パソコン操作などをする際には、イスに浅く座って足を手前に引き、膝を股関節よりも下げ、背骨を床と垂直に保ちます。こうすると骨盤と背骨のポジションは立った姿勢に近づくので、腰の負担は同程度まで下がります。

ナッケムソン(スウェーデン)のデータを基に筆者作成

股関節の柔軟性が大事な理由

もっと積極的に腰の負担を減らす方法があります。それは股関節を柔らかくすることです。

立った姿勢でも座った姿勢でも前傾姿勢をとる際に、股関節を動かさずに背骨を基点に体を曲げようとするから腰に大きな負担がかかります。背骨を真っすぐにしたまま、股関節を基点にして前傾をとれば、腰の負担は立ち姿勢とほとんど変わらなくなります。

プロゴルファーが片足を上げながら、背すじを伸ばして前傾してカップのボールを拾い上げるのは、カップに近づかないというマナーへの配慮もありますが、動きの軸を股関節にすることで腰への負担を減らしているのです。

股関節をしっかり曲げるためには、お尻にある大殿筋と太ももの裏側にあるハムストリングスという筋肉を柔らかくするストレッチが必要です。本稿の最後にイスに座ったままできるストレッチを紹介しますので、股関節を柔らかくして体の基点を股関節に移していきましょう。少しずつ腰の負担が減ってくるのを感じることができるはずです。

立った姿勢にしても前傾にしても、常に背骨を真っすぐに保つことは大切ですが、その姿勢を保つと背骨を支える腰の筋肉が緊張し続けて血行が滞り、疲労物質が蓄積して、やはり腰の疲労と痛みを引き起こしやすくなってしまいます。

次ページ腰痛予防のストレッチを紹介
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