これは、私が知るビジネスマンAさんの話です。
Aさんは、会社で重要なプロジェクトのリーダーを任されました。何度目かのプロジェクト会議の最中、彼は緊張のあまり、激しい動悸に襲われました。
気持ちが焦れば焦るほど、動悸はひどくなっていきます。全身に汗が噴き出し、息が詰まるように苦しくなり、めまいや吐き気も続きます。
しばらく時間がたち、落ち着いてみると、体は元通りになりましたが、それ以来、会議が近づくと動悸が起こり、不安がよぎるようになりました。
これは、精神科や心療内科でパニック障害や不安神経症(不安性障害)などの病名がつくレベル。しかし、そこまでいかなくても、日常的にあれこれ悲観的に考えてしまう人はいます。
「地下鉄に乗っていて大地震が起きて閉じ込められたら嫌だな」
「繁華街で通り魔事件に遭遇するかもしれない」
不安なことを探して、それに注目すればするほど、考えれば考えるほど、不安はどんどん膨らみます。
具体的にできることを探してみよう
「○○が起きたらどうしよう」
と、将来の出来事についてネガティブな見通しを立てて、その対処法を考える。そのこと自体は悪いことではありません。何の準備もないままトラブルに見舞われたら、その場ですぐ冷静に対応するのは難しいでしょう。
ただし、ネガティブな見通しも、度が過ぎた不安に発展すると困りものです。特に、精神医学の世界で問題となるのが「予期不安」といわれるものです。
「予期不安」とは、これから起こるかもしれないことを心配し、悲観的な未来を予期・想像してしまう状態のこと。まだ起こる前だから、あくまで想像の世界の出来事です。
でも、物事を悲観的に考える人の予期不安は、どんどん大きくなりがちです。あまりにも大きく膨れ上がった不安には、具体的な対処法を見つけることもできません。
これに対して、あまり不安を感じない人は、不安を現実的に捉えて、無理なくできることを見つけようとします。
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