会議前に突然「動悸」に襲われた人の"不安"の正体 注目すればするほど「不安」はエスカレートする

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振り込め詐欺は、不安感情をたくみに悪用した犯罪です。

「あなたの息子さんが会社のお金を使い込んだ。このままだと会社をクビになるだけでなく、前科者になる。でも、すぐに示談金を用意すれば許してもらえる」

不安感情に支配された人は、判断をまちがえる

『不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版 (特装版)』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

これは、詐欺グループが用意する典型的なストーリーです。あとから考えればつじつまの合わないことだらけでも「3時までにお金を振り込めば当日の入出金の記録に残らない」などと時間を区切られると不安感情が高まります。

さらに「内々で解決したいので、誰にも言わないように」などと言われるので、他人に相談できないまま、まちがった判断を下してしまいます。

だまされるのは一部の高齢者、などと言って済まされる話ではありません。現実に、一流大学を卒業して出世競争に勝ち抜いた人が、成果を出さなければ自分の立場が危うくなるという不安から、不正経理などに手を染めることがあります。

不正が明るみになるリスクを考えたら、およそ不合理な選択ですが、不安感情に支配された人は、判断をまちがえるのです。

(画像:『不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版 (特装版)』)
和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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