ワークマン社外役員「YouTuber抜擢」の納得理由 「プロ経営者は不要」と2年かけて探した適任者

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しかし監査等委員以外の社外取締役をどう選ぶか、という問題は社内で積み残したままだった。取締役の過半数を社外取締役とする企業も増える中、上場企業である以上、さらなる増員を求められるのは時間の問題だ。

同じ衣料品を中心とした小売業でも、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、取締役10人のうち6人が社外取締役。「ウーマノミクス」を提唱したことで知られるキャシー・松井氏や大学教授、大和ハウス工業や日本オラクルの元社長など、そうそうたる顔ぶれだ。

一方のワークマンでは、多くの上場企業が選任している学識経験者やプロ経営者などにお願いする考えはさらさらなかった。

理由について、土屋専務は「1つの分野を深掘りしてきた会社だから、『グローバル経験』や『幅広い知見』を持つ人を、と言われてもピンとこない。その会社の方針自体に問題があると言われたら、創業時にさかのぼって自己否定することになる」と語る。社外取締役不要論を貫いてきたのも、そうした考えが根底にあったからだ。

1982年に設立したワークマンは、40年以上にわたって作業服やその関連用品、アウトドアウェアの小売業のみを運営してきた単一セグメントの会社だ。業態こそ「ワークマン女子」などに広げたものの、「しない経営」を掲げて海外出店や事業の多角化とは一線を置いている。

お飾りの社外取締役は要らない

社風も“純血主義”を徹底する。M&Aを実施したことはなく、外部からの幹部登用も行わない。社外取締役を迎えるなら、作業服やアウトドアウェアへの知見があり、社員にとっても遠くない存在である必要があった。具体的な候補者の選定が進まない中、濱屋氏からの申し出は渡りに船だった。

濱屋氏は社外取締役に選任後、アウトドアウェアや女性用商品の開発のほか、会社情報のネット発信などに対する助言を行ってもらう予定だ。アンバサダーではなくなるものの、インフルエンサーとしての活動は続ける。

土屋専務は「アメリカの基準を押しつけて数だけ揃えても、お飾り化しては意味がない。大物の社外取締役が多いと日程調整に苦しんで、緊急の役員会も開きにくい。サリーさんはご意見番として実績もあり、実体のある社外取締役となるはず」と期待を寄せる。

ワークマンが熟考の末にたどりついた奇抜人事。その影響は、新たな社外取締役の役割として広がるかもしれない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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