過酷労働でミス頻発…「オペ室ナース」衝撃の実態 「看護の日」に考える、看護師のまっとうな働き方
自分や家族が健康であると医療問題に関心を寄せにくいかもしれないが、救急出動件数は年間で約620万件にも上っている(総務省「救急・救助の現況」2021年の実績)。そのうち実際に搬送された人数は約550万人で、その数は年々上昇。
救急自動車は1日平均で約1万7000件で、約5.1秒に1回の割合で出動しており、国民の23人に1人が救急搬送されたことになる。搬送されたうち「急病」が405万人もいることから、救急医療は決して他人事ではない。
【2023年5月18日追記】救急搬送された国民の割合の単位に誤りがあり修正しました
搬送された中には緊急手術を要するケースもあるが、搬送された先のオペ室の看護師は連日の勤務と深夜の緊急オペで呼び出されて疲弊し、ミスが出てもおかしくないような過酷な労働状況だ。
心疾患など難易度が高い手術につくベテランのナースほど負荷がかかり、疲弊困憊している。5月12日はフローレンス・ナイチンゲールの生誕にちなんだ看護の日。この日をきっかけに、一般的には見えにくいオペ室ナースの状況を追った。
「ヒヤリ・ハット」は日常的にある
「あまりに疲れている時は、どうしても、ぼーっとしてしまいます。オペ室のなかでは致命的なミスでなくても『ヒヤリ・ハット』は日常的にあるのです」
ある地方の病院で働く看護師の工藤徹さん(仮名、40代)が、オペ室の実態を語った。手術に使う薬の用意を看護師が行うが、希釈する量を間違う、準備しておかなければならない器材が足りていなくて慌てて走ってとりにいく。そうしたヒヤリ・ハットが起こることが、そう珍しいことではないという。
オペ室では手術前の準備を看護師が担い、手術の間の看護師は「器械出し」と「外回り」の役割に分かれる。「器械出し看護師」は手術する医師の介助を行い、手術に必要な器材や物品を準備して手渡す。「外回り看護師」は間接的に介助する役割で患者の状態を把握し、麻酔科医の介助などを行う。
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