過酷労働でミス頻発…「オペ室ナース」衝撃の実態 「看護の日」に考える、看護師のまっとうな働き方

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そもそも医療機関は役割が分かれており、軽症患者をみる地域の病院や診療所を「一次救急医療機関」、手術や入院が必要な重症患者を受け入れる病院を「二次救急医療機関」、二次救急では対応できない重篤な患者を受け入れ高度な救命救急医療に対応する病院を「三次救急医療機関」と呼ぶ。二次、三次救急を担う病院は24時間365日、患者の対応をしなければならない。

緊急呼び出しに対応するための「待機」が負担に

冒頭のようなミスを招くのは、看護師の長時間・過重労働によるところが大きい。工藤さんたちオペ室ナースの負担になっているのが、夜間や深夜に救急搬送された患者の緊急オペのための呼び出し「待機」だという。

工藤さんの勤め先は三次救急病院で地域の基幹病院のため、救急搬送の最後の砦になっている。長時間に及ぶ手術や緊急オペにも対応できるよう、工藤さんの病院のオペ室の場合は「日勤」(8時半から17時15分)、「遅番」(12時30分から21時)、「準夜勤」(16時30分から翌1時)のシフトを組んでいる。そのほか、日勤が終わってから翌朝まで緊急呼び出しに対応するための「待機」(17時15分から翌8時30分)の当番がある。

その「待機」が、看護師の負担を重くしている。たとえば、工藤さんの最近の待機の状況は、日勤が終わってから家で待機していると22時に呼び出しを受け、腸が破れてしまった患者の緊急手術が入った。手術が終わって片づけをしてからオペ室を出ると、自宅に着いたのは夜明け前、朝の4時頃だった。4時半頃に身体を横にしたが6時20分に再び病院から呼び出され、オペ室に入った。8時半に日勤の看護師にバトンタッチし、やっと家に帰ることができた。

日勤から明け方まで連続勤務に近い状態となるため、待機番で夜に呼び出されて手術が深夜0時を過ぎた場合、職場のルールとして、その後に日勤がある時は昼からの出勤となる。しかし、この職場ではその午前中の休みに年次有給休暇をあてられてしまうという。

工藤さんらオペ室ナースの間ではこの「待機」を「身柄拘束」とも呼んでいる。この身柄拘束には1番、2番、3番の順がある。

1番を任され真っ先に呼び出しがかかるのはオペ室経験7~8年のベテランだ。2番手はある程度の経験がある中堅の看護師。3番手は新人も含め全員が当たるが、ベテランほど呼び出される回数が増えるため、待機の時は気が抜けない。

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