過酷労働でミス頻発…「オペ室ナース」衝撃の実態 「看護の日」に考える、看護師のまっとうな働き方
「待機でなく、せめて3交代の夜勤であれば最初からシフト勤務として扱われるので休みが保証され、日勤のあとに待機で呼び出されてまた日勤という過酷な働き方ではなくなります。病院に対して3交代の夜勤を要望していますが、待機を夜勤に変更すると人件費がかかることもあって実現しません。ストレスで辞めていく看護師も多いなか、何とか耐えている状態です。この状態で患者さんの命を守るには、限界があります」
最も勤務者が多いシフトが組まれる平日の日中でも、心臓と脳の手術、緊急帝王切開、完全にショック状態で命に危険のある患者の手術などと、難しい手術が重なる時もある。それぞれの手術に看護師3人がつく必要があるため、看護師が全員オペで出払っていることもある。そうしたなかで救急搬送された患者は、誰かのオペ室が終わるまで待つしかない。
「待てない状態の患者さんを大学病院に送ることは、年に数回は起きてしまいます。オペ室がいっぱいの時に救急搬送の要請があると、対応がおいつかないと、がっくりきてしまいますね。たとえ医師がいても、介助につく看護師がいなければオペはできません。患者さんが待てるのか、他の病院に送るのか。医師と共に私たち看護師も判断しなければならないのです」
近隣の病院には麻酔科医がいない、専門医がいない、オペ中だという理由で、重症ではない患者も送られてくる。比較的、重症でない患者の手術の場合、本来は看護師3人でオペに対応するところ、やむなく看護師1人で手術の介助につくこともあるという。そのような時、工藤さんは「十分な数の看護師がいる時に搬送されてほしい」と思ってやまない。
「この電話で人を殺してしまうかもしれない」重圧
「患者さんの“たらい回し”も、年に数回はあります。うちに搬送依頼があっても受け入れられず、他に聞いてもダメ。救急車の中で既にショック状態でも待たされてしまう。最後は受け入れるのですが、すぐに手術ができないので、救急外来で血圧を調整する薬でなんとか状態を維持して、維持して……。待つ時間が長いことで悪化することもあります。医師や看護師が不足している地方などでは、やむをえない状況なのです」
別の地方で、三次救急を担うある外科の医師も、「救急搬送を受け入れられるかどうかの電話がきて、やむなく断ることもあります。そういう時、私は『この電話で人を殺してしまうかもしれない』という重圧を感じるのです」と心中を語るくらいだ。
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