プロゴルファーのモチベーション「3.0」とは 優勝のための三つのモチベーション

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では、この三つ、ツアー全37試合に出場できる条件の下、ツアープロに当てはめるとどうなるでしょうか。

まず、モチベーション1.0。目的が最低限の生活を維持していくためにゴルフをする、となると思います。予選通過ラインを行ったり来たり、あるいは予選落ちが続くと、かかる経費がすべて赤字となって累積します。

なので、何とか予選を通って賞金を少しでも獲得したいというところに大きな目的がいってしまいます。

モチベーション2.0。報酬などに基づく外的動機づけ。予選を通り、成績が上がれば上がるほど賞金は高くなり、がぜんやる気も高まります。

そして優勝をすれば世間での認知度も上がり、さらにプラスアルファのおカネを獲得するチャンスにも恵まれます。

たとえば用具契約やゴルフウエア契約など、企業との契約もあるかもしれません。賞金ランキング上位50人に入ればシード権が付与され、来年度の試合出場権が得られます。仕事場の確保ができて精神的にすごく安定します。

そして、それ以上のやる気を出すのがモチベーション3.0です。内的動機づけ。自分の内面から湧き出るやる気です。ピンク氏はそれを自主性、成長、目的と話しています。高いパフォーマンスを発揮するのは、心の底から欲する自発的な目的に向かってプレーしているときです。未到の記録挑戦はまさにこれだと思います。

また、トップを長く張る選手は、単に外的動機づけだけでは長い期間上位にとどまることは難しいです。

心の底から湧き出る自分の強い思い。そしてそれには自分自身のことはもちろん、それを超えた抽象度の高い目的も内包されます。それはプロ全体を代表する気持ち、あるいは業界全体、さらには日本のためと、自分の枠を超えています。だからコツコツ努力し続けられるし、かかる責任やプレッシャーと共存できるのです。

優勝は心の底から湧き出るモチベーションの最たるもの。それは見る人を感動させ、最高のプレーを実現できるものと確信いたします。

週刊東洋経済 4月25日号

小林 浩美 プロゴルファー

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こばやし ひろみ

1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長。所属/日立グループ。

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