「日本のお笑い芸人」が英語圏でウケる超納得理由 とにかく明るい安村さんに審査員が食いついた

✎ 1〜 ✎ 32 ✎ 33 ✎ 34 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

整理すると、
①英語ではオチにあたる目的語が文末にくる。
②日本語では主語や目的語を省略し、解釈を相手にゆだねる。
となります。

この組み合わせは、もしかするとジョークで笑いをとるのに最強かもしれません。

例えば、シチュエーションコントの定番である医者ネタの場合、執刀医が「汗を拭いて」と言ったら看護師が自分の汗を拭う、骨折した患者を診断した医師が「骨が折れてます」と言ったとき、患者が「ドクター、あなたもですか」と言ってしまう。などなど、これらは医師という権威を持った存在がやや横柄に主語や目的語を省略して喋ることから周囲がいろいろな誤解をする、という笑いのパターンです。

主語や目的語を略す日本語的な英語はこのパターンには最強ではないかと思います。

また、今回の安村さんの例のように、目の前に見えているオチを観客に先に言わせる、というテクニックにも使えるでしょう。

積極的に日本語的な英語を使ってもOK!

ちなみに安村さんの英語、I'm wearing pantsも実は少々おかしいです。現在進行形なので、「私は現在パンツを履いている真っ最中です」となってしまい、もし本当にそうだとするとちょっとTVでは放送できない姿を想像してしまいますね。

しかしそうではないことはコンテクスト的に理解していますので、この程度の文法的不正確さは問題になりません。

なお、これは不正確なだけであって「間違い」ではないと思います。日本人は「間違った英語を話してはならない」と思い込みすぎのように思います。数学の計算は間違えてはいけませんが、英語でもこれと同様にわずかな間違いも指摘する、採点のための教育がなされてきたことの弊害ではないかと思います。

むしろ、積極的に日本語的な英語を使えば人を笑わせることが容易です。日本のお笑いタレントのみなさんは、どんどん海外向けにネタを披露してみてはどうでしょうか? 日本人はジョークのうまい国民だ、という評判を作ることができるかもしれません。

連載の一覧はこちら
デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事