ジャニーズ主演「だが、情熱はある」への"違和感" 「お笑い青春エンタメ」とは違う"新しさ"の秘密

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だが、情熱はある
オードリーの若林正恭を演じるKing & Prince高橋海人(左)と南海キャンディーズの山里亮太を演じるSixTONES森本慎太郎。後ろに写るのは本人(写真:『だが、情熱はある』公式サイトより)

日曜ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ、日曜夜10時半〜)は、お笑い芸人オードリーの若林正恭(演:King & Prince高橋海人 ※「高」は正しくは、はしごだか)と南海キャンディーズの山里亮太(演:SixTONES森本慎太郎)のお笑いにかける青春ストーリーである。

お笑い芸人を主人公にした青春エンタメは珍しいものではない。いやむしろ人気コンテンツである。

『だが、情熱はある』はその1つになり得るうえ、元になった若林と山里のユニット「たりないふたり」を改めて振り返ることもできるサスティナブルな企画でもある。だが、このドラマはどこかそんな策略とは一線を画したものがある。それは何か。

自意識過剰で人見知りの若林、妬み嫉みの過剰な山里、生きていくうえで必要な社交性などが”たりない”ふたりが2009年、漫才コンビ「たりないふたり」を結成し、人気を博した。『だが、情熱はある』はその解散ライブ当日のシーンからはじまる。

2021年5月31日、「たりないふたり」の解散ライブはコロナ禍で無観客配信となった。配信客の数は約5万5000人(ドラマ中では「5万4000枚」チケットが売れたと、薬師丸ひろ子演じるマネージャーの島が言っている)。東京ドームでライブができるほど、のぼりつめた中での解散、しかも客席は無人という不思議な状況である。

物語はこのユニットが誕生した2009年にさかのぼり、さらに、2人がまだ“何者でもない”高校時代へとさかのぼっていく。

オードリー
「たりないふたり」のコントシーン(写真:『だが、情熱はある』公式サイトより)

「お笑い青春エンタメ」がウケる理由

前述した通り、お笑い芸人を主人公にした青春エンタメは珍しいものではない。

代表的なものとしては、又吉直樹の小説『火花』。お笑いを志す主人公に多大な影響を与えた人物との屈折した関係を描いた物語は、芥川賞受賞作とあって注目度は高く、Netflixでドラマ化、それとはまた別に映画化や舞台化もされた。

実録ものだと、北野武の自伝で、彼がフランス座で漫才を始めた頃の物語(これも師匠がキーマンになっている)、『浅草キッド』のNetflixでの映画化も話題になった。

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