ジャニーズ主演「だが、情熱はある」への"違和感" 「お笑い青春エンタメ」とは違う"新しさ"の秘密

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これらがなぜウケるかというと、わかりやすいからである。有名芸人が書いたという安心感、実体験を元にしたであろう、お笑いの世界の舞台裏というリアリティーに対する信頼感。おもしろい芸人が書いたのだからおもしろいに決まっているという期待。これらによって触手が伸びる。

『だが、情熱はある』もその成功パターンに乗ったドラマであろうと思ったら、事前に「友情物語でもサクセスストーリーでもない」とお断りが入った。わかりやすい感動はなく、生き方指南にもならないと言いたいようだ。でもそれくらいなら、想定内である。

例えば、同じく日本テレビで2021年に放送された、菅田将暉、仲野太賀、神木隆之介がコントグループの解散までを演じた『コントが始まる』。これも友情ものだが、サクセスするための参考にはならないドラマだったし、脚本を書いたのは芸人ではなく向田邦子賞受賞作家・金子茂樹で、フィクションながら高い評判を得た。

甘さも苦さも含んだ、何者でもない時代の青春。何かを掴んだり手放したり、それらすべてがかけがえのない思い出――。そんなドラマは視聴者の好物である。『だが、情熱はある』はどうだ。

これまでの「お笑い青春エンタメ」とは違う

有名な山里と若林が主人公で、とっつきやすい。……はずだが。これが少し状況が違う。ストレートに南海キャンディーズ、あるいはオードリーの自伝的ドラマのほうが物語に入り込みやすいだろう。が、「たりないふたり」の話なので少しややこしい。

山里と若林が高校時代、実は同級生だったというならともかく、別々の高校時代を送っている様子を並行して描いていて、若林の高校には現在の相方・春日俊彰(演:戸塚純貴)がいるものだから、若林と春日の関係に目がいってしまう。毎日襟足を勝手に切られている春日のキャラが立っているからなおさらだ。それから、もう1人、ものすごく前向きな山里の母(演:ヒコロヒー)のキャラも強烈だ。

でも、主人公ではない春日が目立つことで、「たりないふたり」が結成されることに説得力が出る。自分には何か足りない、そんな忸怩たる思いが「たりないふたり」を生み出したのだから。

オードリー
若林が春日の襟足を切るシーン(写真:『だが、情熱はある』公式サイトより)
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