「日本のお笑い芸人」が英語圏でウケる超納得理由 とにかく明るい安村さんに審査員が食いついた

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正しくは「I’m wearing pants」(私はパンツを履いてます)と言うべきです。ただし、このケースでは省略されている目的語が「pants」であることは、安村さんがステージ上でパンツを指差してポーズを取ることから明らかです。それどころか、この不完全なセンテンスは意図されたもので、ポーズで間を作って聴衆にリアクションを促している、というように解釈されたのです。

もしも、これをすべて計算の上でやっていたとすれば安村さんの才能に脱帽するしかありませんが、私は日本語と英語の違いが偶然面白く作用したと思っています。ここでちょっと英文法をおさらいしてみましょう。

英語の基本となる構文は「主語ー動詞ー形容詞、目的語」(S.V.C、S.V.Oというやつですね)です。今回のケースでは「I wear pants」です。英語の場合、ギャグのオチとなる形容詞や目的語が最後にくるため、今回のように最後の一言でドカンと笑いを取るのに適しています。

例えば、

Mr. President, you are stupid guy…sorry it’s a joke! Truth is you are “very stupid”.
(社長、あなたって間抜けですね。すみません冗談です。本当は、あなたはとんでもない間抜けです)

このように、最後の最後までオチを悟られずに会話を進めることができます。なお、この例文の場合、社長に失礼なことを言って謝るのかと思ったら、もっと失礼なことを言った、というジョークです。アメリカのコメディアンは権威のある人をこうした辛口なジョークでからかうことが多いのですが、これは安易に真似しないほうがいいでしょう。

主語、目的語を省く日本語の特徴

一方で、日本文化は「ハイコンテクストな文化」と言われています。「言わずもがな」という言葉があるように、話の前後の関係、あるいは話者と聞き手の関係から、主語や目的語を完全に言わずとも通じる場合には積極的に省略します。

例えば、
「(私は)昨日大阪に行ってきたんだけど」
「(大阪には食事が)美味しいお店があったんだよ」
「今度(僕と君で大阪に)行かない?」
こんな感じで、文脈上明確な事柄は省略されます。

外国人の話す日本語がぎこちなく聞こえる理由の1つは、英語の感覚でいちいち主語をつけることです。
「ワタシはアナタとご飯を食べに行くのがいいと思っています」
みたいな感じですね。

では反対に、英語に不慣れな日本人の英語はどう聞こえているのでしょうか。

英語に不慣れな日本人が頭の中の日本語でそのまま英語を作ると、主語を省略した文になってしまいます。以下の()の中は英語ネイティブにどう聞こえているかのイメージです。

「Went to Osaka yesterday」(昨日大阪に行った。で、誰が?)
 「There was a good restaurant」(いいレストランがあった。で、どこに?)
 「Next time, let’s go to Osaka together 」(次回、大阪に一緒に行こう)

まあちょっと違和感がありますが多少想像力を働かせれば理解できなくはないですね。

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