ですから「記憶の司令塔」「記憶の裁判官」「必殺仕分け人」などと呼ばれることもあります。
実際、海馬が「これは大事」と判断して、海馬の門を通らせた情報だけが、大脳皮質で「長期記憶」として保管されるシステムになっています。
つまり裏を返すと、海馬に「大事」と判断させれば短期記憶を長期記憶へと格上げできるわけです。
海馬が「長期記憶」と認定してくれる3大条件は、次の通りです。
人は記憶を「快」「不快」で分けている
「①意志」と「②回数」については、経験的にすんなりと納得いただけるはず。
「③感情」について、詳しく説明しておきましょう。それは、海馬の隣に位置する「扁桃体」という小さな領域と、密接に関係している話です。
扁桃体とは海馬の隣、側頭葉の内側の奥に位置する直径約1㎝の部位のこと。扁桃体の役目は「快・不快」を仕分けることです。
扁桃体が「快(好き)」と判断すると、ドーパミンという神経伝達物質(快感や多幸感を得たり、意欲を生み出したり感じたりするホルモン)が分泌され、海馬にプラスの刺激が及びます。
すると、記憶力が高まったり、思考力が深まったり、達成感が生じたりという効果が表れるのです。
反対に 「不快(嫌い)」 と判断すると、ストレスホルモンが分泌され、記憶力などさまざまな能力が低下し、増えるはずの神経細胞も増えにくくなり、長い目で見ると海馬の萎縮を招きます。
つまり、扁桃体でポジティブな感情が生まれると、海馬が刺激されることで記憶が強化され、短期記憶が長期記憶に格上げされやすくなります。
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