日本名物「お尻を洗うトイレ」海外で普及しない訳 イノベーションはブルーオーシャンを泳げるか

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また、1960年代から1970年代はじめの日本のトイレは欧米先進国と比べて4K(くさい、きたない、こわい、くらい)なので、これをとにかく改善しなければ、日本は後進国のままだと力説されておられました。

若い読者の方は、この4Kのうちの「こわい」「くらい」の意味がおわかりにならないかもしれないので、本題から大きく脱線しますが、補足します。

トラウマすら引き起こす昭和のトイレ事情

昭和30年代に筆者の親戚が東京の郊外に住んでいまして、子供の頃にその家を訪れるたびに、トイレに少なくとも1回は行かなければなりませんでした。ところが、そのトイレが母屋の端にあり、しかも薄暗い。電気はあったのだと思いますが、とにかく薄暗いのです。

夜ともなればとても暗い。しかも水洗ではないので、しゃがんで下をのぞくと、暗い奈落の底が見える。もし足を滑らして、下に落ちたらどうしよう、泳ぐわけにはいかないし、そのまま吸い込まれて糞尿にまみれて死んでしまうのだろうか、とトラウマにもなりかねない怖い思いをこの家を訪ねるたびにいつもしたのです。

こう書くと、世界に類を見ない現在の日本の素晴らしいトイレ環境で育った若い読者の方々は、いったいこの人、何を言っているのだろう、と思われることでしょう。

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