恵泉女学園大が閉校…「消える大学」の3つのサイン 小倉優子さん入学の白百合女子大もどう見る?

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中には、充足率70%を超えていても閉校した大学も。

そもそも学校法人は、大学が10億円の赤字でも、系列の小中高が20億円の黒字であれば、法人全体では10億円の黒字になります。この場合、大学が定員割れしていても、廃校にする必要はありません。それを考えると充足率70%超で学生募集を停止した大学は、法人自体の財政状況が悪かったか、将来を見越して早めに損切りしたのでしょう」

3月に文部科学省は私立大学に対する審査基準の一部を改正。2025年度以降は大学や学部を新設する際、「地域のニーズや18歳人口の推計値」、「近隣の競合校の定員充足率」など客観的なデータで学生確保の見通しを示すことを大学に義務づけた。これには定員割れする大学が増えたため、新設を抑制する狙いがあると考えられている。

「要はマーケティングリサーチを大学に義務づけたのです。とはいえ、民間企業なら事前に需要がどれくらいあるか調査するのは当たり前。これまで明文化されていなかったのが不思議ともいえますね」

新設抑制策はこれだけではない。

文科省は、定員50%未満の学部がある大学は学部新設を認めない、という方針も打ち出しました。これらの施策により閉校せざるをえなくなる大学が今後、出ると考えられます。特に2022年に入学充足率60%未満だった30校の大学は、相当な経営努力をしないと厳しいのでは」

では、大学の数は今後、減るのだろうか?

「そうとも言い切れません。看護・医療系やIT系などニーズが高い分野では今後も新設が続くことが見込まれます。また職場で即戦力となりうる人材育成を目指す専門職大学というカテゴリーも2019年4月に誕生。今後、専門職大学に転換する専門学校が増えるでしょう。これらも含めると、大学数が1000校を超える可能性も十分にあります」

“大学進学率”は上昇中

少子化が進む状況で、大学数が増えれば、生き残りはさらに厳しくなるのでは?

「これも単純にそうなるとは言い切れません。例えば現在の日本社会ではさまざまな場面で、パソコンやタブレットなど情報機器が使用されています。こうした高度化・情報化に対応できる人材を生み出すには、大学進学が必須。高収入を得るために大学進学を選択する学生はますます増えていくと考えられます」

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