老化・生活習慣病に悩む人は「腸漏れ」している 「疲れやすい」「だるい」と感じる人が見落とす事

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さらに、大腸は通常無酸素なので、いるのは酸素を嫌う有用菌(偏性嫌気性菌)ばかりです。酸素が入ってきたら、それまでいた有用菌は生息できなくなり、逆に酸素があると生きられる好気性の有害菌が増えます。その代表が「大腸菌」です。食中毒を引き起こす病原細菌の多くも好気性の有害菌で、腸内の酸素量が増えると増殖しやすくなります。

負の連鎖
出所:『9000人を調べて分かった腸のすごい世界』より

小腸・大腸ともに、有害菌が増えて有用菌が減ると、それまで有用菌が生み出してくれていた恩恵を受けられなくなります。その代表は、短鎖脂肪酸。有用菌の働きで生み出されているものですから、有害菌の増加によって、生み出される短鎖脂肪酸の量も減るのは当然です。

短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性の状態に保って有害菌の繁殖を防ぐ働きをはじめ、エネルギー源として腸の活動を支えています。腸漏れの原因の一つは腸のエネルギー不足ですが、腸漏れにより有用菌が減り、エネルギー源である短鎖脂肪酸がさらに減ることで、ますます腸漏れが進みます。

また、短鎖脂肪酸は免疫細胞の機能をコントロールする役割も担っていますが、腸漏れになって腸内環境が悪化すると、その役割を果たせなくなります。それによって免疫細胞のオーバーワーク状態が加速してしまい、炎症が悪化する一因になってしまうのです。

腸内を弱酸性の状態に保つ有用菌

9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険
『9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険』(日経BP)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

このように、様々な形で私たちの良好な腸内環境の維持に寄与してくれている短鎖脂肪酸が減れば、体にどんな影響が及ぶかは、いうまでもありません。

そんな恐ろしい腸漏れを予防する方法はいくつか考えられますが、まずは腸内を弱酸性の状態に保つ有用菌を増やすこと、そして、有用菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をしっかりとることから始めましょう。具体的な食事法は、前回の記事でご紹介した、日本人のやせ菌「ブラウティア菌」を増やす方法でご紹介した通りです。

バランスのよい食事をとり、特にヨーグルトなどを追加してビフィズス菌、乳酸菌が不足しないように継続的に摂取し保つことが、ダイエットだけでなく、様々な病気の予防や疲れの改善の鍵といえるでしょう。

國澤 純 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長

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くにさわ じゅん / Jun Kunisawa

1996年、大阪大学薬学部卒業。2001年、薬学博士(大阪大学)。米国カリフォルニア大学バークレー校への留学後、2004年、東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授を経て、2013年より現所属プロジェクトリーダー。2019年より現所属センター長。その他、東京大学医科学研究所客員教授、大阪大学医学系研究科・薬学研究科・歯学研究科・理学研究科招へい教授(連携大学院)、神戸大学医学研究科客員教授(連携大学院)、広島大学医歯薬保健学研究科客員教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構客員教授などを兼任。 著書には『善玉酵素で腸内革命』(主婦と生活社)がある。

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