老化・生活習慣病に悩む人は「腸漏れ」している 「疲れやすい」「だるい」と感じる人が見落とす事

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一番の問題は「開きっぱなしの門」です。門が開きっぱなしであれば異物は侵入し続け、炎症も起き続ける。炎症が慢性化すると、腸は本来の免疫機能を果たせなくなります。さらには、異物は腸から血液中に流れ出て、全身の器官にも侵入してしまいます。そして各器官でも炎症を起こすため、「体の調子がなんか悪い」「疲れが抜けない」「だるさや微熱が続く」といった全身症状が表れてきます。

「ちょっとだるい、くらいの不調なら大したことはない」と思うかもしれませんが、それは早計です。

たしかに腸漏れによる慢性炎症は、急性炎症のような激しい痛みや高熱が出るわけではありません。「すぐに病院に行こう」とは思わない程度の静かな症状ですが、その「静かさ」が問題なのです。

「ちょっと最近、疲れているな」くらいの実感しかない間に異物が全身をめぐって、各器官にジワジワとダメージを与えます。たとえるなら、低温やけどのようなものです。気づいたころには大ダメージで、しかもそうした炎症が体のあちこちで起きていて、細胞や組織を傷つけていき、そしてあるとき、「病気」となって現れます。

肝臓がダメージを受ければ疲れやだるさがよりひどくなり、そのままにしておけば慢性肝炎、さらに悪化すれば肝硬変になりかねません。脳で炎症が起きれば、脳細胞の萎縮につながって認知症の一因になります。

そのほか、腸漏れは糖尿病・動脈硬化・がんなどとの関連も示唆されています。詳しくは後述しますが、もし原因が思い当たらない疲れやだるさ、微熱が続くことがあったら、腸漏れを疑ってみるのも一つだと思います。

腸漏れと腸内環境悪化「酸素をめぐる負のサイクル」

腸漏れの原因でもあり、さらに問題を連鎖的に引き起こすのが腸内細菌叢の悪化です。健康な腸は酸素とエネルギーを大量に消費して、つねにウネウネと動いています。これが「ぜん動運動」です。しかし、食物繊維不足などで腸がエネルギー不足になり活動が低下すると、酸素の消費量が減ります。便秘時にはこんなことが起きているのです。

さらにバリアが緩い腸漏れ状態になると、使われなかった酸素が腸に漏れ出てしまいます。そうして腸内環境はどんどん悪化していくことになります。

「多少の酸素が、そんなに大きな問題になるの?」と思われる方もいるかもしれません。実はこれが、腸にとっては大問題です。

小腸は位置的に酸素が入ってくる環境で、もともと酸素が多少あっても生息できる有用菌がいるとはいえ、そうした菌の多くは通性嫌気性菌。もともと酸素を好む性質(好気性)ではないのです。したがって、酸素量が増えたら、生息する菌が変化します。

次ページ免疫細胞のオーバーワーク状態が加速
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事