ゴーゴーカレーが資金繰り悪化から回復できた訳 「脱サラ起業」から海外展開実現の創業者がつづる

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無理もない、と思います。素人同然で1号店を出したときから、銀行や信金の方々には本当にお世話になってきました。ある信金の支店長さんは、こんな生意気な若造を信用してくれて、ときには無担保で、いつも気前よく融資をしてくれました。そんな方々にご迷惑をかけることになってしまう。申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

もちろん、リスケにはならないほうがいいに決まっています。しかし、苦境に立って見えてきたこともありました。ある金融機関の担当者が、こう教えてくれました。

「いまはリーマン・ショックの影響で、中小企業の多くがリスケしていますよ」

それは追い詰められていた中で思いもよらない言葉でした。無責任かもしれませんが、「なんだ、ウチだけじゃないんだ」と。一方でその後、「リスケになった企業は9割が立ち直れていない」という厳しい現実があることも聞かされました。

そしてこのとき、「自力」で乗り越えようとするのではなく、リスケを受け入れたことは、いい教訓となりました。

「他力」を受け入れるスタイルに転換

それまでは、自分1人でなんとかなるという勢い任せのやり方でした。その、なんでも「自力」で解決しようとしていた考えをあらため、専門家の意見を素直に取り入れる。つまり「他力」を受け入れるスタイルに変えたことによって、経営の幅が広がりました。その1つが、会計士さんからのリスケの提案でした。

自力でもなんとかなったかもしれませんが、専門家の提案を受け入れたことによって、短期間で財務体質が改善され、キャッシュフローなど経営基盤が強化されました。もちろん、金融機関の声などもしっかり受け止め、いまでは当時の数倍の額を、信用保証協会の保証等がない、プロパー融資で借り入れしています。

創業系の経営者に多いのが、財政危機に陥ったときに1人だけで抱え込み、仲間や専門家にも相談せず、金利の高い消費者金融などに駆け込んでしまうケース。

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