ゴーゴーカレーが資金繰り悪化から回復できた訳 「脱サラ起業」から海外展開実現の創業者がつづる
問題はそれだけではありません。当時は独立制度を導入し、独立したそれぞれの会社で銀行から資金調達しながら出店していて、足りない分はゴーゴーカレーグループから貸付けしていました。
その独立した会社のお店が赤字に陥り、毎月の返済が滞るようになったり、また、香港に出した店の黒字化が予想以上に難航したりと、キャッシュが回らなくなっていたのです。既存の直営店では利益が出ていたものの、組織が未熟で運転資金が減って、財務状況が悪化していきました。
イケイケドンドンの拡大路線に暗雲が垂れ込めてきたのです。
黒字でも「会社はこうやって死ぬのか」
2013年12月10日は、創業丸10年で、ぼくの40歳のバースデーでした。しかも結婚1周年の記念日。そんな大事な日に、朝早くから金融機関回り。気がつけば会社のキャッシュの底が見え始めていて、取引先の銀行に「リスケ」(リ・スケジュール)を頼むことになっていました。
リスケというのは、金融機関に返済期日を延ばしてもらうこと。元本はそのままで、金利だけは支払い続けることになるわけです。
「お金が回らないことで会社は死ぬのか……」黒字であっても資金繰りが回らないとどうしようもなくなってしまうのだなと知ることになりました。
「資金繰りが悪くなったので、リスケのお願いにあがりました」
ある銀行に出向いて単刀直入に切り出すと、担当者の表情が固まりました。
(え? おたくはイケイケドンドンでやってきたんじゃないんですか?)
そんな心の声が聞こえてくるような顔つきです。付き合いのある銀行や信用金庫を10行近く回りましたが、あるところでは「リスケ……」と口にした瞬間、にこやかな表情を浮かべていた支店長さんが、お茶を出しに来た行員に向かって「あ、お茶は出さなくてもいいから」と冷たく告げました。