ゴーゴーカレーが資金繰り悪化から回復できた訳 「脱サラ起業」から海外展開実現の創業者がつづる

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リスケ開始から1年後、創業間もない頃からお世話になっていた、地元・金沢の北國銀行さんから、救いの手が差し伸べられます。担当支店の支店長が変わったタイミングでした。当時の負債は約3億円。大きな額と思われるかもしれませんが、会社経営ではそれほどでもありません。

リスケ以降は経営が順調だったこともあって、この当時、新たに着任した新谷支店長は「え!? 3億円でこんなに大変なことになってるんですか?」と驚き、「ウチがすべて肩代わりしますよ」と申し出てくれたのです。そこで具体的な経営状況と今後の計画を伝えると、話はすぐにまとまりました。

直営店の黒字と、好調なレトルト事業もあって、1か月でこれだけの黒字が出ていますと伝えると、「それなら大丈夫ですね」。あっさりとリスケは解消されました。

困ったときに頼れるのは、やはり地元の方々

カレーは世界を元気にします~金沢発! ゴーゴーカレー大躍進の秘密
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後日耳にしたことですが、地元の銀行が助け船を出してくれたのは、ゴーゴーカレーがなにかと金沢や石川県をアピールしていたため、周囲から「大事な地元企業だから助けてあげないと」という声が上がったことも一因だそうです。困ったときに頼れるのは、やはり地元の方々だと感じたものです。

この新谷支店長と、リスケを提案してくれて、その後もずっと寄り添い、アドバイスをし続けてくれている、地元の会計事務所である中部経営の税理士・平島千嘉さんにはいまでも感謝しかなく、足を向けて寝られません。

そんなこともあり、ますます地元に恩返しをしたいと思っているのです。

宮森 宏和 「ゴーゴーカレー」創業者
みやもり ひろかず

1973年、石川県金沢市で農家の長男として生まれる。高校を卒業後、専門学校を経て、地元の旅行会社に勤務。添乗員だった29歳のときに、同郷同世代の松井秀喜選手が、ニューヨークのヤンキースタジアム開幕戦で打った満塁ホームランに感銘を受け、脱サラを決意し裸一貫で上京。2004年の新宿1号店オープンを皮切りに日本全国にチェーン店を広げ、金沢カレーブームを巻き起こす。創業3年目にはニューヨークにも出店し、その後は世界各地にもフランチャイズ展開。現在、国内外で100店舗達成。2014年に「金沢カレー協会」発足、2022年に「日本カレー協議会」発足と、カレーを愛する人同士の連携に尽力する。

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