アンミカ「リアルポジティブ女王」の大胆な選択 「中年の危機」も"大勝負"を仕掛けて乗り越えてきた

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
拡大
縮小

「人に喜んでいただけることこそが、この仕事の極意だと思っています。

30代までは、仕事は“なりたい自分に近づくため”。成長欲こそがエネルギーでしたけど、年齢を重ねて変わりましたね。今は、“求められる場所で、自分の役割をどれだけ果たせるか”。

そう考えると、失敗や挫折も宝物だなと改めて感じます。長く芸能界で仕事をする上では絶対に必要なものですし、成功より失敗のほうが誰かのお役に立てる(笑)」

その言葉に説得力があるのは、全ての苦難や失敗を糧にしたからこそだ。

タレントとしての存在感や個性の強さは、辛酸をなめた時代が長く、試行錯誤を重ねた末に備わったもの。圧倒的なトーク力は、関西のコリアンタウン、鶴橋育ちであることにも起因するが、他のモデルとは差をつけようと、ありとあらゆる知識や経験を身につけたからこそである。

ミドルエイジクライシスを打破するための大勝負

30代半ば。大阪では社会問題から人生相談まで語れるタレントとして、実力が認められ、確固たるポジションを築いていた。

はたから見れば、順調で安定していたものの、当人は一抹の停滞感も感じていた。中年世代に差し掛かり、一人の女性として結婚への焦りもあり、これからどこへ向かうのか、どう人生を発展させていくのかが見えなかったのだ。

さらに、恋愛もうまくいっていなかった。

「お付き合いした人たちには、一生懸命過ぎて重いって言われてました(笑)。結婚や出産願望も高まっていた時期ですし、空回りしていました」

テレビでよく語られている逸話――2年間、付き合った恋人が実は、国際的なスパイだったのも、この頃のこと。

いわば、ミドルエイジクライシス(中年の危機)か。ここでアンミカが興じた打開策が、東京進出だ。

「きっかけは単純なのですが、風水です(笑)。信頼する風水に詳しい知人から『20年に一度の飛躍のチャンス。東京に行ってみたら?』と勧められて。大阪ではレギュラー番組もあったし、お気に入りの家に引っ越したばかりで、迷ったんですけど……。“やらない後悔よりやった経験の方が人生を輝かせる”と、ある方にも言っていただいて。さまざまな方に肩を押していただき、停滞を感じる場所にいるよりワクワクするほうへ進みたいと思い、不安もありましたが行くことに決めました」

38歳、この勝負が40代からのアンミカ快進撃の下地となる。

現在も所属する事務所と出会い、タレントとして新たなスタートを切るとゴールデンタイムのバラエティ番組や通販番組など、これまでにない仕事が次々に舞い込んだ。

次ページ全ては出会いから始まった
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
【田内学×白川尚史】借金は悪いもの?金融の本質を突く教育とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT