乱立大麻店の運命やいかに? 5月タイ総選挙の行方 大麻解禁で一気に街中へ、アジアで唯一の緩い国

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バンコク市内カオサン通りの入り口にある大麻カフェ。カオサンは世界から多くのバックパッカーが集まる場所として有名だ(写真・柴田直治)

2023年4月初旬、新型コロナ感染拡大以来、3年ぶりにタイの首都バンコクを訪れ、街の変貌ぶりに驚愕した。

大麻だらけなのだ。マリファナ関連の製品を販売する店が乱立している。ほとんどの店が大麻草をかたどったマークを掲げているのですぐにわかる。あちこちの通りや店先から、マリファナ独特のにおいが漂ってくる。アジアの各地を長年旅してきたが、こんな光景に巡りあったことはかつてない。

猛暑の街を歩けば、2023年5月17日に実施される総選挙へ向けた候補者ポスターが街路樹や電柱に立てかけられ、大音量の選挙カーが行き交う。しかしながら、外国人短期滞在者である私は大麻草マークのほうについ目を奪われる。「微笑みの国」と呼ばれたタイの街角で「大麻を吸って微笑みませんか」と客引きに声を掛けられた。

大麻販売店・おしゃれでポップな店内

タイでは2021年、医薬品や健康食品、化粧品などへの大麻の利用が合法化されたが、販売店が大っぴらに開業するようになったのは2022年6月9日に違法薬物リストから大麻が除外されてからだ。以後、雨後の筍のように各地で店が立ち上がった。

路面店のほか、ショッピングモールや中心地の一流オフィスビルのなかにも出店が相次いだ。夜には露店も出る。繁華街に多いタイマッサージの店と並ぶほどの勢いだ。大麻を具材にした料理をメニューに加えるレストランやカフェも登場している。コンビニでは大麻入り飲料が売られている。保健省によると、2023年1月末現在で国内に7700の大麻ショップが登録された。

バックパッカーの聖地と呼ばれるカオサン通りでは、路面店に加え露店、夜店があふれ、「笑うガス」などのボードを持った客引きからひっきりなしに声を掛けられる。屋台では大麻入りのケーキや飲料も売っていた。

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