「口コミ星1の病院」患者離れに常連が喜ぶ不条理 理不尽な要求に医師は「サンドバック状態」
病院を高評価にするインセンティブがないとも指摘する。
「これまで数万人が受診し、口コミ数は総患者の1000分の1くらい。そのうち3分の1が低評価をつけた。平均点でみると極端な評価が左右している面があり、サンプルとして適切とは思えない。
満足しているかかりつけ患者に良い口コミを書くインセンティブはない。むしろ、低評価の口コミで患者が減ると、待ち時間が減ってメリットにさえなる。評価は悪くなる一方ではないか」
患者から高評価の病院がよい病院なのか
あるクリニックの口コミで「風邪の症状で来たけれど、ついでにお腹のエコーもやってくれてよかったです」という高評価をみつけた。
「そのクリニックは本来関係のないことをやっていて、医学的には正しくない。まったく必要ない検査を保険診療でおこなうのは僕らにとって恥ずかしいこと。
患者の口コミの評価の軸と医学的に正しいことの評価の軸は必ずしも一致しない」
ルールや倫理に従う医師の評価が相対的に下がることが懸念されるというわけだ。
「患者の言うとおりに応じていれば悪い評価にはならない。不必要でも検査が増えれば経営的なメリットにもなる。点数がちらつくと医学的に不適切な選択をしてしまう誘惑はあるかもしれない。口コミサイトって世の中の役に立っているのかなと思う」
診察後の患者にQRコード付きの名刺を渡して、口コミを書くように誘導する病院もある。木村さんは「経営努力」と捉えて実践する気にもなれない。