「口コミ星1の病院」患者離れに常連が喜ぶ不条理 理不尽な要求に医師は「サンドバック状態」
医療業界におけるGoogleマップの書き込みとどのように向き合えばよいのか。インターネットの法的問題にくわしい清水陽平弁護士によれば、守秘義務に触れてしまうため、医師がGoogleマップの口コミに反論するのは事実上難しいという。
「内容的に『あり得ない』口コミでもない限り、反論する以上は具体的な診療内容などに触れざるをえず、守秘義務の問題が生じます。 『あの患者だろう』と想定ができる場合でも、返信機能を用いて反論することは事実上難しいのが現実といえます。 法律事務所にも同じような問題があり、私の法律事務所のGoogleマップにも『そんなことはあり得ないなぁ』という口コミがいくつかされています」
清水弁護士によると、Googleマップに載った施設の管理者が口コミを非表示にすることはできないという。
削除のためには、名誉毀損を立証する必要がある
口コミの削除には、ウェブフォームから申請する方法と、裁判手続を使う方法がある。
ウェブフォームを使っても「現時点ではGoogleとして特に対応はとらないという決定に至りました」と回答されることも少なくない。
「明らかに虚偽の内容だと指摘しても、こう回答されるため、事実上、裁判手続が必須といえる状態です」(清水弁護士)
裁判では名誉毀損を立証しなければいけないが、Googleマップの口コミのほとんどが条件にあてはまらないという。
「Googleマップの口コミは、事実関係が書かれているというより、意見や論評が主となっているため、削除が認められにくいのが実際です。 意見論評型の名誉毀損において削除が認められるには条件を満たす必要があります。
(1)社会的評価の低下があること (2)公益性、公益目的がないこと (3)意見論評の前提となる事実の重要部分が真実ではないこと
さらに、上記(1)〜(3)を立証できたとしても、人身攻撃に至るなど意見論評としての域を逸脱しているといった事情を立証できなければいけません。 口コミでは、前提とする事実関係が明確に書かれているわけではないことも多く、そもそも事実の重要部分自体が不明で、立証もできないというケースが少なくないのです」(清水弁護士)
木村さんのクリニックへの「検査は無駄だと院長から説教された」という口コミも同様だ。