それでもヒラリーが大統領になれない理由 圧倒的優位にみえるが、そうではない
現代の米大統領選において、2大政党のいずれかの立候補指名を得ようと思ったら、2期目を狙う現職でない限りはまず、予備選を戦わなければなららない。
2000年の大統領選に出馬したアル・ゴア副大統領(民主党、当時)を除き、過去に民主党や共和党の指名を受けた候補で予備選を全勝で終えた人はいない。ゴアだって、選挙戦序盤のヤマ場とされるニューハンプシャー州予備選では、あと4%得票が少なければ負けていた。
8年前に比べれば圧倒的に優勢
12日に大方の予想通り、2016年大統領選挙への出馬を表明したヒラリー・クリントン前国務長官は、過去のいかなる候補者よりも楽に民主党の指名を勝ち取れる立場かも知れない。予備選を前にこれほど勢いのある候補も珍しい。指名獲得が「当然」視されている候補者がいるとすれば、それはまさに今のクリントンだ。それでも本選挙となれば、当然のことながらあらゆる可能性が否定できない。
クリントンは8年前に比べても、はるかにいい立場にいる。当時も民主党の指名を勝ち取るのは「当然」だと言われたりしたが、大きな弱点も抱えており、結局はバラク・オバマ上院議員(当時)に敗北した。
予備選では誰に投票するかという世論調査で、クリントンは民主党支持者の60%近い支持を集めている。これは8年前の40%を大きく上回る。予備選の序盤戦が行われるアイオワ州などの州でも、8年前とは異なり今回は強さを見せている。
いわゆる「見えない予備選」、つまり候補指名に大きな影響を及ぼす党内有力者の支持集めでも、クリントンは圧倒的な強さを見せている。2008年選挙ではオバマを支持したが、今回はクリントン支持を表明しているという人が少なくない。
態度を保留している人もいなくはない。だが、クリントンに互せるだけの挑戦者を送り出せるほど、その層は厚くもなければ広くもないようだ。
そのせいなのか、クリントンの対立候補になると目される人々のなかには、出馬を強く否定する人も少なくない。エリザベス・ウォーレン上院議員や、デュバル・パトリック前マサチューセッツ州知事がいい例だ。