子供がいない夫婦の「絆」は、どう生まれるか 結婚2年で「寝室も休日も別」の超達観夫婦

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最近は食事もひとりで取ることが多いと明かす博之さん。慶子さんは朝も弱いので、博之さんのために朝食を作ってあげた後は再び眠りに戻ってしまう。博之さんはひとりで朝食を済ませ、徒歩10分の勤務先に通勤する。霞が関とは違い、出向先では残業も少ない。たいてい夜8時には帰宅できる。

結婚2年目から寝室は別に……

「彼女はバイトがあるときは11時ごろの帰宅になります。僕は作っておいてもらった夕食をひとりで食べ、後は自室で読書しています。新婚当初は『食事ぐらいは一緒にしたい』と思っていましたが、3カ月ぐらいであきらめました。僕自身もひとりの時間は嫌いじゃないし、同僚や議員さんとの飲み会で夜を空ける日も少なくないからです。

彼女の本業であるピアノを深く理解して、共有できるわけでもありません。自分の都合がいいときだけ、自分の好きな分野である旅行や食事でベタベタしたいと願うのはどうかな、と思うようになりました」

博之さんはマイペースではあるが無神経ではない。むしろ、相手に配慮しすぎて控えめになる傾向がある。

音に敏感な慶子さんは、博之さんの軽いイビキにも耐えられず、結婚2年目からは平日は別々の部屋で寝るようになった。体調面が不安なので子どもを作ることには積極的ではない。

「僕も特に子ども好きではありませんが、同世代の友だちに子どもがいたりすると『いいものだなあ』とは感じます。でも、子どもがいたら今のような生活はできませんからね。『自分たちの結婚生活はこんなものだろうな』と思い始めています。おふくろが生きていたら孫を見せてあげたいと思ったはずですが……」

博之さんと慶子さんはそれぞれの時間を過ごしつつも、険悪な関係では決してない。たまにはふたりで外食や旅行に行くし、お互いの職場について「とりとめのない話」をすることもある。「夫婦はこんなもの。多くを求めるのは無理」とふたりとも達観しているのだろう。結婚2年にして倦怠期ならぬ達観期に入っているのだ。

「ふたりとも30代後半ですから、性格や価値観、趣味を今さら変えることはできません。大きな不満はありませんが、こういう夫婦関係で30年後も大丈夫かなと不安になることはあります」

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