子供がいない夫婦の「絆」は、どう生まれるか 結婚2年で「寝室も休日も別」の超達観夫婦

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それでも博之さんは「少しはモテて男性としての自信がついた」と振り返る。自信は勢いにつながり、勢いは幸運を呼び寄せることがある。博之さんの出身地に住み続けている従姉妹から、「地元が同じピアニスト仲間を紹介したい」と打診された。後に妻となる2歳年下の慶子さん(仮名)だ。一目ぼれだったのだろうか。

「いえ、違います。いい人だなとは思いましたが、そのときは僕が東京に住んでいて、彼女は地元にいました。距離があるので何度も会うのは難しいですよね」

見事な“受け身”で、無事ゴールイン

相変わらず消極的な博之さんだが、陰気さや意固地さとは無縁の心優しい人物だ。「こちらが押してリードすれば何とかなる」と思わせるところがある。

慶子さんは「また会いませんか?」と連絡をし、何度か会ってメールも交わしたうえで、「一緒に旅行しませんか」と誘ってくれた。その1泊旅行で交際が始まったという。博之さん、見事な受け身っぷりである。

37歳で結婚したときも、年下の慶子さんにプロポーズしてもらったのだろうか。

「いえ、僕からです。1年ほど遠距離恋愛をした後で、今の地方自治体への出向が決まったので、『どうする?』と彼女に聞いたのです。『じゃあ、結婚しようか』と答えてもらいました」

どうする? じゃないよ。「僕について来てください」だろう、とツッコミを入れたくなる。しかし、博之さんと慶子さんの関係性ではこれぐらいがちょうどいいのだろう。結婚生活も穏やかに過ごしているようだ。財布は博之さんが握り、家事を一手に引き受けている慶子さんには月々15万円ほどの生活費を渡している。

「彼女の小遣いもそのカネから出ていると思います。彼女は英語も得意なので英語講師のバイトも週3でやっていますが、そのバイト代は東京に戻ってから家を買うために貯金しているようです。僕は旅行で使ってしまうので、結婚前から貯金額は増えていません」

寺社巡りが大好きな博之さんは、結婚してからも月に1~2度のペースで国内旅行に出掛けている。慶子さんが一緒に行くこともあるが、慶子さんは持病を抱えていてお遍路のようなハードな寺社巡りはできない。ピアノの練習もしたい。博之さんと慶子さんはそれぞれひとりで過ごす時間が増えているようだ。

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