「博士」がオムロン変革の旗手になったワケ 小澤尚志×瀧本哲史「大企業に巨大な可能性」

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瀧本:非連続で変化を起こす人って、「どこでもない人」なんですよ。

小澤:どこでもない人?

「どこでもない人」が変化を起こすんですよね

瀧本:そうです。坂本龍馬は土佐藩を脱藩していたわけです。つまり、どこの藩にも属していなかった。イノベーションが起きるときは、違う分野の知識がつながるわけですから、エン ジニアというほどエンジニアでもなく、事業企画というほど事業企画ではなく、マーケティングというほどマーケティングではない人がつなげていかなければいけない。もっといえば、社内の人なのに社内の人ではない、事業運営者であるようで事業運営者ではないのです。そういう、ある種の超越的な立場であることが一番価値を生む場所なのだと思います。

小澤:確かにそうかもしれません。われわれも今の活動をやっている中で、平たい言葉でいうと「ニーズとシーズをつなげていく」「社内と社会をつなげていく」「社内の中をつなげていく」という具合に、つなげていくところにこそイノベーションがあるという感覚があります。

最大の狙いは次の新しい事業を生み出すこと

瀧本:日本のメーカーは、特定分野のオペレーションはどんどん精緻になっていくけれども、実はそれでは会社の長期的な成長とか、非連続の変化は起こせない。取って付けたように「イノベーション人材を作らなきゃいけない」と言い出しても、そもそもそういう育て方をしていないから急に生まれるはずはないんです。

小澤:最初に、今の中計では50ぐらいの新しい事業にチャレンジすることをお話しました。このことの最大の狙いは次の新しい事業を生み出すことですが、会社としては人材の発掘と育成も期待していると思います。新事業の場合、経験のない社員にもチャンスを与えやすいですから。新しいことにトライさせていく中から人は育っていく、発掘されていくケースは、結構あると思います。

瀧本:なるほど。後編では、オムロンベンチャーズで進めていることについてお話を伺います。

(撮影:大澤 誠)

後編は4月20日に掲載します。

瀧本 哲史 エンジェル投資家

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たきもと てつふみ

京都大学客員准教授、エンジェル投資家。東京大学法学部を卒業後、東京大学大学院法学政治学研究科助手を経て、マッキンゼーに入社。3年で独立し、日本交通の経営再建などを手がける。その後、エンジェル投資家として活動しながら、京都大学では「交渉論」「意思決定論」「起業論」の授業を担当し人気講義に。「ディベート甲子園」を主催する全国教室ディベート連盟事務局。著著に『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』がある。

【2019年8月16日18時00分編集部追記】2019年8月10日、瀧本哲史さんは逝去されました。ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。

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