「博士」がオムロン変革の旗手になったワケ 小澤尚志×瀧本哲史「大企業に巨大な可能性」

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理解のある上司で、私の意思を受け止めてくれた

瀧本:オムロンでは上司と交渉すると籍を移せるのですか。

小澤:理解のある上司だったんです。私が新しい商品や事業の企画に興味があることをわかってくれていた。そのため、非常に好意的に受け止めていただきました。あまり会社の宣伝をするつもりはありませんが、オムロンには意思を示せばやらせてくれるところがあるんですね。そういう点では、チャレンジをさせてくれる会社だな、と思います。

ただし経営企画に行ったら、すぐに、新商品・新事業企画をできるわけではなかった。最初の2~3年は、M&A案件やオムロンの生産拠点の再編など、まさに経営企画のど真ん中をやっていました。

転機は3年目に、今の中期計画をまとめる役をやらせていただいたことです。その際、経営陣の皆さんと、オムロンとしての新しい事業をどういうふうに創造していくのか、議論する場があった。中計にはさまざまなテーマがあるわけですが、この新規事業創出についてはぜひとも立案だけでなく、実行の部分もやらせてほしい、というふうに話をしました。その結果、今の仕事にありついたわけです。

何をしたいのか、自分でもすぐにはわからないもの

瀧本:大学での研究から始まって材料エンジニア、そして経営企画を経て、ついに直接マーケットに接するところにやってきたわけですね。

小澤:結果的にはそうなります。でも、計画的にやってきたわけではないんです。そもそも自分が何をしたい人間なのか、それって意外とわからない。私も大学を出たときに、それがわかりませんでした。最初の会社を辞めて大学に勤めて、また民間企業に戻った。自分の中で技術をやりたいのか、技術から生み出してくる製品を世の中に送り出したいのか、どっちなのか。これは、最近までずっと悩んでいました。吹っ切れたのは最近になってからで、ちょうど4年ぐらい前、2010年のことです。

瀧本:技術者としての道を捨てるのは、勇気がいります。よく吹っ切ることができましたね。

小澤:こう考えるようになったのです。理科系的な人間なのか、文化系的な人間なのかという分類でいくと、自分はスーパー中途半端。でも、ある程度、両方のことをやれそうな人はひょっとしたらあんまりいないかもしれない。自分みたいな中途半端な人間がいなければ、優秀な技術者がせっかく素晴らしい技術を生み出しても、世の中に刺さっていかないんじゃないか、と思ったわけです。これこそが自分にしかできない仕事なんだと思い、そこで吹っ切れましたね。

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