午前3時起床、育児中の教員5人が語る過酷な現実 仕事の持ち帰りはザラ、毎週土日に出勤する先生も

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石田:Cさんも連続で育休を取得されたそうですが、復帰後は大変でしたか。

(Cさん)
40代の公立小学校教諭。小学5年生と2年生の子どもを育てながら学級担任を務める。

C:私も子どもが保育園に通っていた5~6年間は、子どもと一緒に午後9時頃までに就寝、午前4時に起きて家事や仕事をして出勤するパターンでしたね。

石田:お子さんが小学生になってからは、いかがでしょうか。

C:今も主人が単身赴任中のため生活はあまり変わりませんが、保育園への送りがないぶん、楽になりました。でも、子どもたちの精神状態を考え、午後6時半までには学童に迎えに行きます。そのぶん仕事は毎日持ち帰っていますが、睡眠を取らないと体が持たないので、結局やれないことも多いです。

石田:校務分掌(生徒の生活・進路指導や、時間割の作成、保護者団体など外部団体との交渉・調整など)の負担も大きいですか。

C:昨年度は情報教育の主任だったので、GIGAスクール構想で配布された1人1台のタブレット端末の導入と整備、ルール作りをしなければならず、夏休みもゼロでした。小規模校なので一人当たりの校務分掌は多く、とても負担に感じます。複数人で担当しても誰かに業務量が偏ることは多く、給料は変わらないからモチベーションも上がらないです。

石田:どういう状況になれば残業はゼロになると思いますか。

C:実は、勤務校は働き方改革が進んでいて、効率よく仕事をして早く帰る先生が多いんですよね。聞けば、子どもたちに何か作業をさせている間に丸付けをするなど、授業時間内にいかに業務をこなすかがカギだそうです。私もそうした工夫をせざるをえないと感じています。

環境に恵まれるかどうかという「運」もある

石田:Dさんは7年も連続で育休を取得されたそうですが、それだけブランクがあると復帰も大変ではないでしょうか。

(Dさん)
30代の公立小学校教諭。8歳、6歳、4歳の子どもを育てながら、短時間勤務で特別支援学級を担当。

D:上の子が小学校に上がるタイミングで復帰し、2年経ちました。勤務校は自宅から車で2時間弱の場所にありますが、環境が整っていたから復帰できました。コロナ禍で在宅勤務が可能になった夫が下の子の保育園の送りをやってくれるので、私は朝ご飯の準備だけして先に出勤することができています。

また、担任じゃないし、復帰1年目は校務分掌も2人体制にしてもらえたのですごく楽でした。特別支援学級の担当のため児童対応には工夫が必要ですが、小規模校なので1クラスしかなく、担当者も私を含め3人います。短時間勤務で授業準備も国語と算数だけなので、負担は少ないです。

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