「生活困窮者を入居→転売」貧困ビジネスの正体 自治体から門前払いされた63歳男性が餌食に

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カズヒコさんにアパートを紹介したのは、東京都内にある一般社団法人。首都圏を拠点に活動する「反貧困ネットワーク」や「TENOHASI(てのはし)」「ほっとプラス」などの支援団体によると、新型コロナウイルス感染拡大が本格化した2020年以降、同法人関連の相談が30件ほど寄せられているという。

実はコロナ禍での貧困問題を取材していた私もここ1年ほど、この法人がらみの被害を耳にする機会があった。「就労支援を受けるため有料の契約を結んだのに、何もしてくれなかった」「苦情を言うと別のアパートに移るよう言われた」「携帯に勝手に位置情報アプリを入れられ、アパートから逃げ出したら連れ戻された」といった内容で、苦情の対象が生活保護費のピンハネなどが問題となっている無料低額宿泊所ではなく、一般社団法人だったので「珍しいな」と思ったことを覚えている。

ある支援団体の関係者は法人の“手口”について「炊き出しや食料配布の現場などで生活困窮者を勧誘しては、郊外にある古い物件に入居させているようです。生活保護の申請に同行していた支援団体のスタッフが声をかけられたこともあります」と話す。

カズヒコさんはどのようにしてこの法人と出合ったのか。

夜はネットカフェ、昼は公園で過ごした

カズヒコさんはコロナ禍の中で大手物流倉庫の派遣の仕事を雇い止めに。生活費を払って同居させてもらっていた友人宅を出ざるを得ず、夜はネットカフェ、昼は公園や河川敷で過ごすようになった。所持金が2000円を切ったことから、生活保護の申請をしようとしたところ、自治体の相談員から「ネットカフェからの申請はできないので、まずは無料低額宿泊所に入ってもらう」という旨の説明をされたという。カズヒコさんは施設入居を拒絶。結局申請はできなかった。

ちなみにネットカフェからの申請はできないというのも、施設に入らなければならないというのもウソである。自治体が生活保護の申請をさせないための典型的な“水際作戦”だ。

自治体から門前払いされたカズヒコさんは入居できるアパートを探すため、携帯で「仕事ない」「所持金ゼロ」「部屋」などと検索。住まいの紹介に加え、「自立支援」「生活支援」をうたうこの法人のホームページにたどり着いたという。

都心にある事務所に足を運んだところ、2人の高齢男性が手続き中で、スタッフらが「これから(2人を)川越のアパートに連れていく」などと話しているのが聞こえた。

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