月130軒「ゴミ屋敷」片付けるプロが見た過酷な姿 「ゴミ屋敷の住人はだらしない」は間違っている

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「一見、よくある何てことのないトラブルのように思いますよね。でもその女性は、大家が住人のゴミ袋を広げて中身を見ていることを知り、以来ゴミを捨てることができなくなってしまったんです。大家からすれば、分別をしていないとゴミ収集車が回収してくれないという事情があります。どちらかが悪いという問題でもないと思うんです」

また、生ゴミに埋もれながら一軒家に一人で住む40代前半の女性にはこんな事情があった。

2人の子どもが事故で亡くなり、その1カ月後に夫も事故でこの世を去ってしまった。その家族はコンビニエンスストアをフランチャイズ経営していたが、夫の死後も「主人と一緒にやってきた店だけは守りたい」という思いから、女性は朝から晩まで働き詰めになっていた。部屋には住人の精神状況が現れるという。その状況では、部屋の環境を維持するほうが難しいかもしれない。

「ゴミ屋敷に住んでいるからこの人はだらしない、などとゴミ屋敷であることと人の性格を結びつけるのは違うと思っています。よくあるのは、ゴミ屋敷だから育児放棄をしているんじゃないかという思い込みです。

第三者が児童相談所に相談すべきだと勝手に主張していることもある。でも、私たちに依頼してきたケースでは、ネグレクト状態になっているゴミ屋敷はほとんどないんです。環境はたしかにアカンかもしれませんが、お母さんは子どもを愛していますし、お子さんもお母さんのことが大好きなんです」

ゴミ屋敷
ゴミ屋敷
高齢の両親が住んでいた実家。父が亡くなり、高齢の母が一人暮らしになった後、ゴミ屋敷化してしまったという。下の写真は、片付け後の部屋の様子(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

ゴミ屋敷の住人たちが撮影を許可する理由

さまざまな事情を抱えたゴミ屋敷を動画として配信するには、やはりそれなりのリスクもある。動画のコメント欄で視聴者からゴミ屋敷の住人に対する誹謗中傷が飛び交ったときには、チャンネルの運営を辞めようと思ったこともあった。ただ、それでも二見さんが動画の配信を続けるのには理由がある。

「何かに悩んでいる人って、誰にも相談できずに孤独になってしまっていることが多い。『悩んでいるのはあなた1人じゃない』ということを発信したいんです。私は片付けの様子を興味本位で見たい人たちではなく、片付けができなくて悩んでいる人たちのために動画を配信しているんです」

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