月130軒「ゴミ屋敷」片付けるプロが見た過酷な姿 「ゴミ屋敷の住人はだらしない」は間違っている

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しかし、片付けても片付けても、ゴミ屋敷はなくならない。可視化されていないだけで、二見さんの体感として20軒に1軒はゴミや物を溜め込んでいる現実があるという。

「家の外観も居住者さんの外見も含め、見た目ではわからない人はかなり多いと思います。それこそタワーマンションでもゴミ屋敷は当たり前のようにあります。自宅がゴミ屋敷になってしまうケースは、自己犠牲をいとわなかったり、頑張りすぎたりしてしまう人に多い気がしています。仕事に信念を持っていたり、責任感が強かったりすると、どうしても自分のことって後回しになってしまうんです」

イーブイに片付けを依頼してきたゴミ屋敷に住む人たちは、たとえば看護師といった人命に関わる仕事だったり、緊張感のある職業だったりする人が多い。責任感のある業務かつ不規則な生活を強いられることもあり、自身のケアをする余裕が持てないのだ。

「ゴミ屋敷に住んでいる=だらしない人、とは違うんです」と二見さんは強く繰り返した。現場に向き合うまでは、ゴミ屋敷になってしまう事情なんてせいぜい5通りくらいだろうと二見さんも思っていた。しかし、100人いれば100通りの事情があることに気付いたという。

ゴミ屋敷
冒頭の写真の家に1人で暮らす男性。仕事の忙しさからゴミが溜まってしまったという(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

ブラックで不透明なことも多かった不用品回収業界

二見さんは片付け業務と並行して、YouTubeで「イーブイ片付けチャンネル」を運営し、ゴミ屋敷を片付ける過程を詳しく記録し、配信している。なかでもゴミ屋敷に暮らす母子を取り上げた動画は、現在約330万回再生と反響を呼んだ。二見さんはなぜゴミ屋敷に向き合い、そして発信するのだろうか。

「学歴でいうと、私は中卒なんです」

本人いわくヤンチャな青春時代を過ごしていたというが、二見さんの表情にその面影はない。服が好きでアパレル店員のアルバイトをしていたこともあり、友人と古着屋を開いたこともある。しかし経営は長くは続かず、流れ着いたのが地元大阪のリサイクル業者だった。拾われる形で入った会社だったが、そこがすこぶるブラックな労働環境だった。

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