――公正取引委員会が、大手電力会社によるカルテルにメスを入れました。
カルテルは電力小売自由化の精神をないがしろにするもので、とんでもないことだ。小売自由化では、大手電力会社が地域独占時代の供給エリアから踏み越えて他電力のエリアに参入し、競争を行うことが期待されていた。
大手電力会社間のエリア外競争は、電力・ガス会社間での相互参入と並び、電力小売自由化が成果を上げるうえでの大黒柱だった。それを骨抜きにした責任はきわめて重く、断じて許されない。
大手電力会社のゆがんだ意識
――公取委が発表したリリース文では、「関西電力は九州電力管内または関電管内の入札などで自社が提示する電気料金の水準を九電に伝える。それを踏まえ、九電および子会社の九電みらいエナジーの2社は入札などで提示する電気料金を引き上げる」といった不正行為を両社合意の基に実施していたと指摘されています。
不正行為の背景として、電力業界に特殊な、何らかの要因が働いていたと思わざるをえない。大手電力会社は安定供給の責任を果たしているという意識が強すぎるあまり、小売全面自由化後も市場は自分たちのものだというゆがんだ意識を持ち続けてきたのではないか。
市場がオープンなものになったことの意味を理解せず、長年にわたる総括原価方式、地域独占時代の企業風土から抜け出すことができないでいる。
もう一つの理由として、電力がきわめてドメスティックな産業であるということが挙げられる。
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