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崖っぷちのシャープと復活のソニーを分析 2社はなぜここまで明暗が分かれたのか

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そこでシャープは、資本を増強しようと必死になっています。再建に向けて財政基盤を強くするために、1500億円規模の借入金を優先株などに振り替える「デット・エクイティ・スワップ」を銀行に提案しています。

つまり、借金の返済の目処が立たないから、借金の一部を株主資本に変えることで「返済しなくてもいいおカネ」に変えてしまうということです。この提案が受け入れられれば、資本が増強されますし、借入金が減って資金繰りや金利負担が和らぎます。

ここで、中長期的な安全性を示す「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算しますと、11.4%となります。製造業のような固定資産を要する業種では20%以上あることが望ましいとされていますから、シャープの場合は非常に低い水準だと言えます。

しかも、このまま純損失が続けば、その分、資本(純資産)は目減りしていくわけですから、自己資本比率は10%を切って過小資本になりかねません。

シャープは、再び「崖っぷち」の状況に追い込まれているのです。

ヒット商品と金融業の支えで回復が見えたソニー

続いて、ソニーの財務諸表を見ていきましょう。損益計算書(18ページ)によると、売上高は前の期より6.5%増の6兆2781億円。営業利益は20.3%増の1663億円。営業段階では、かなり業績が回復している様子が分かります。

ところが、「当社株主に帰属する四半期純利益」は、純損失を計上しています。税金当の支払いが増えたことで、この期は191億円の赤字に転落しているのです。

通期の見通しでは、200億円程度の営業黒字、当期純損失1700億円を見込んでおり、事業の見直しなどの関係でなかなか厳しい状況ですが、今後に期待したいところです。

安全性はどうでしょうか。貸借対照表(16ページ)から自己資本比率を計算しますと、18.9%となります。少し低い水準ですが、あまり問題はありません。ソニーは、ソニー生命やソニー銀行などの金融業をやっているため、一般的な製造業と比べて自己資本比率は低くなりがちなことと、潤沢に現預金を持っているからです。

資産の部から現預金と有価証券を調べますと、あわせて1兆8766億円も持っています。資金繰りに困ることはまずないでしょう。

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【ソニーとシャープの明暗はどこで分かれたのか】

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