「ありえない扱い」ボクシング選手を挫く時代錯誤 ファイトマネーは手売り用チケット約6万円分

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3150FIGHT 亀田興毅 内山高志
ボクシング界の改革を訴える亀田興毅さん(右)にエールを送る内山高志さん(左)(撮影:尾形文繁)

元世界王者・亀田興毅さんは、現在、ボクシングイベントのファウンダー(設立者)となり、4月16日には、国立代々木競技場第二体育館にて『3150FIGHT vol.5 〜東京を殴りにいこうか!〜』を開催する。

亀田さんが自らボクシングイベントを手掛けるのは、ボクシング界の改革、中でも選手の金銭面での待遇向上を目指すという目的のためでもある。そこで「ノックアウト・ダイナマイト」の異名を持つ、元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者である内山高志さんの解説を交えながら、亀田さんが掲げる「改革」、中でもボクサーの金銭事情についてつまびらかにする。

ファイトマネーは現金ではなくチケット

亀田さんが掲げる改革の一つに、「ボクサーの地位向上」がある。「ボクシングって面白い」「ボクサーってすごい」、そんな声が広がっていくためには、魅力的なボクサーの出現、すなわちボクシングの競技人口が増えていくことが望ましい。しかし、現状はその逆。ボトルネックとなっているのは、ボクサーの収入の少なさである。内山さんが口を開く。

「ボクサー人生の中で行える試合の数は限られています。同じ20戦をするなら、お金を稼げる20戦の方がいいに決まっている。魅力的なファイトマネーというのは、ボクサーにとってはものすごく大きなことです」

日本チャンピオン――、その聞こえは良いだろう。だが、(その階級で)日本で一番強いボクサーにもかかわらず、バイトをしなければ生計を立てられない日本チャンピオンはたくさんいる。「ありえへん」、そう亀田さんは一刀両断する。

そもそもの問題として、「ジムによってファイトマネーが異なる」という。

「ボクシングの興行は、日本ボクシングコミッション(以下、JBC)が開催するわけではなく、各ジムが開催します。相撲でたとえるなら、相撲部屋がそれぞれ独自に興行をしているようなもの。ブランドが統一されていないためバラバラなんです」(亀田さん)

一般的なファイトマネーは、一番下のクラスである4回戦(1ラウンドは3分間。各ラウンドの間に1分間のインターバルが入り、それを4セット行う)で約6万円。「しかも、現金ではなく選手が手売りするチケットで支払われる」と亀田さんは説明する。

「死に物狂いで戦って、この金額ではボクシングにあこがれる人は増えない。僕らが手掛ける興行では、最低でも倍額のファイトマネーを提示しています」(亀田さん)

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