「ありえない扱い」ボクシング選手を挫く時代錯誤 ファイトマネーは手売り用チケット約6万円分
こうした破格のファイトマネーを約束できるのは、亀田さんたちがスポンサー集めに奔走しているからだ。たとえば、昨年8月に行われた『3150FIGHT vol.3』は、 世界戦が行われないにもかかわらず32社という規格外の数のスポンサーを集めた。反面、軋轢も生じた。
「僕らが『ファイトマネーを倍額にします』と言うと、『そんなこと勝手にするな』と言われた。でも、選手たちは『すごいな』とSNSに書くわけです。SNSによって選手の気持ちなどが見える時代になったことで、僕らの改革がしやすいところはあると思います」(亀田さん)
亀田さんがファイトマネーの増額をうたったことで、オークションのようにファイトマネーが吊り上がっていく現象も起きた。先述したように、ここ日本のボクシング興行は、各ジムが主催するケースがほとんどだ。
日本タイトルマッチの相場は約100万円
AジムとBジムが同じ時期に興行を開催すると仮定しよう。もし、双方のジム興行が、(どちらのジムにも所属していない)Cジムの日本チャンピオンを招いて、自分のジムの選手と戦わせる(あるいは出場を打診する)場合、チャンピオンは条件の良い方を選ぶ。
日本タイトルマッチの相場は約100万円だという。ところが、亀田さんサイドと、他ジムサイドが互いに金額を提示していった結果、最終的に亀田さんは450万円という破格のファイトマネーを提示し、日本チャンピオンを自身の興行のリングに上げた。ボクシング関係者も目を丸くするほどの出来事だった。
「こういうことをどんどんしていって、ボクサーの地位を上げていかないといけない。ジムありきではなく、選手ファーストに変わっていかないといけないんです」(亀田さん)
「ボクサーからしたら心強いですよ。興毅の大会に出たいという選手たちが増えてるのも納得」とは内山さんの弁だ。金銭的な下支えは、現在のボクサー事情を好転させる可能性を持つと続ける。
「『デビューします。スポンサーになってください』と頼んでも、誰もスポンサーにはなりませんよね? ですから、アルバイトをしながら、空いた時間で練習をやるというケースがほとんどです。しかし、それでは体が休まらないので、良いトレーニングはできない」(内山さん)
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