亀田興毅企画ヒットさせたAbemaTVの豪胆

ネット放送局が地上波テレビに勝る武器

「AbemaTV」の存在を世に大きく知らしめる出来事になったに違いない(撮影:今 祥雄)

「こんな企画、誰が見るんだ?」

最初、この企画を知った時は率直にそう思ったが、よくよく考えると面白い内容だという考えに変わった。

5月7日、インターネットテレビ放送局「AbemaTV」が放送した「亀田興毅に勝ったら1000万」。ボクシングの元世界王者・亀田興毅氏と一般公募で選ばれた素人4人の挑戦者がボクシングルールで対決する番組だ。その名のとおり、もし挑戦者が亀田氏に勝利した場合は、賞金として1000万円を獲得できるという企画である。

視聴者殺到でサーバーがダウン、アクセス数1300万超

番組のスタートは同日18時、筆者はボクシングにまったく興味がなかったが、試合の行方が気になって、iPadでAbemaTVのアプリを立ち上げてみた。ところが、つながらない。なんと視聴者が殺到したためにサーバーがダウンしてしまっていたのだ。後ほどAbemaTVのサイトで確認したところ、アクセス数は1300万を超えたようだった。

AbemaTVは昨年4月、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同でスタートしたスマホやタブレット、パソコンなどで見られる24時間放送のインターネットテレビ放送局だ。ニュースやオリジナルのバラエティ番組に加え、ドラマ、音楽、スポーツ、釣り、ペット、アニメなど、多様なコンテンツをそろえている。テレビのように番組の間に流れるCMの広告収入で運営するため、ユーザーは原則として無料で視聴可能だ。一部、見逃した番組を後で見られるようにする有料サービス(960円/月)もある。

テレビの視聴率は世帯数を計算で出しているので、単純比較できないが、1300万アクセス超ということは、テレビの視聴率でいえば10%の人数はゆうに超えていると思われる。下手すると、20%近くあるのかもしれない。しかも、このアクセス数は推計値ではなく実測値。AbemaTV開局以来、最多視聴数を記録したという。

若い世代を中心としてスマホが爆発的に普及した今、テレビという受像機に頼らないテレビであるAbemaTVという存在を世に知らしめる出来事となったに違いない。それにしても、なぜこのような爆発的な関心を呼んだのか。放送作家の筆者からみると3つのポイントがある。

ポイント1「リスクだらけの企画が通った」

テレビ向けに企画を頻繁に考える筆者から見ても、この企画はリスクだらけだ。まず、元プロボクサーの亀田氏が素人相手にボクシングを繰り広げるという企画である。

次ページ試合が続くのか、そもそも成り立つのか?
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
企業同士の取引で「値上げラッシュ」が起きている
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT