亀田興毅企画ヒットさせたAbemaTVの豪胆 ネット放送局が地上波テレビに勝る武器

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・本当に試合は成り立つのか

・10秒で挑戦者がノックアウトされて終了してしまわないか

・どうせ素人相手に亀田興毅が勝つことがわかっているのだから、誰も見ないのではないか

などと、いろんなことが考えられた。とにかく、試合が続くかどうか。成り立つかどうかがわからない。それにいろんなリスクがあって心配だ。放送作家の自分の経験上、企画書を書いて民放テレビ局に出してもたぶん、通りにくかっただろうと思われる。

ポイント2「賞金1000万円という発想」

「おカネのために闘う」という単純発想がワクワクした。しかも1000万円だ。万が一、1000万円を獲得できる可能性があるなら、元世界王者に少々殴られても挑戦してみたいと考える腕自慢の素人もなかにはいるだろう。

「おカネのために闘うのは下品」と揶揄されるかもしれない。だが、そもそもプロボクシングをはじめとするプロ格闘技はおカネのために戦っている。2015年にラスベガスで行われた、フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオ戦では、300億円以上のおカネが動いたともいわれている。

もともとAbemaTVには、そういう土壌がある。先日放送された「坊主麻雀 優勝賞金は500万円!負けたらその場で坊主!」では、堀江貴文さんが丸坊主になっていた。単純明快だ。

AbemaTVとは違うが、Amazonプライムビデオで視聴が可能な「ドキュメンタル」という作品がある。ダウンタウンの松本人志さんが考案した企画で、参加費100万円を支払った芸人10人が6時間、笑わないことを競い合い、優勝者には1000万円が支払われるという内容である。

地上波テレビなら倫理的に難しいかもしれない

作品の冒頭では生々しく現金が登場する。筆者も思わず6時間連続で見てしまった。参加費100万円という自体で、地上波のテレビ番組では倫理的に難しいかもしれないだろう。

その昔、テレビ朝日で「ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー、これができたら100万円!!」という企画があった。1995年から2000年まで5年ほど続いた企画で「電流イライラ棒」などが大人気となった。当時はあまり問題にならなかったが、視聴者からのクレームに過敏な反応を示すようになった今では、おカネや罰ゲームが絡んだ企画が、テレビ番組として成立しにくくなっている。

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