疲労時に効果絶大、「集中力」を呼び戻す簡単テク パズルを解く実験でパフォーマンスが20%向上

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私たちは「楽しいから笑う」だけでなく、「笑うから楽しくなる」という性質を持っています。例えば、uの音が多く含まれた物語を音読する人は、uの音が含まれない物語を音読する人に比べ、ネガティブな気分になることがわかっています。これは「フェイシャル・フィードバック効果」と呼称されています。

「u(ユウ、ウー)」と発音すると、口がすぼめられます。これはネガティブな表情をするときに動く表情の一つです。さらに、eの音を繰り返し発音する人は、uの音を繰り返し発音する人に比べ、楽しいと感じる傾向にあることが知られています。e(イー)と発音してみてください。口角が引き上げられ、笑顔になります。

集中表情のマネが、パフォーマンスを20%引き上げる

今回のテーマの集中表情がどのように集中度を高めるのか、Richesinら(2020)の研究から紹介します。

Richesinら(2020)は、実験参加者を次の2つの条件にわけます。1つは、表情について何の指示も与えない条件。もう1つは、スポーツ選手が気合を入れた瞬間の顔を見せ、その表情をマネしてもらう条件です。それぞれの条件の実験参加者に、認知力を測ることを目的としたパズルを解いてもらいます。

実験参加者が、パズルを解いている間、参加者の表情、心拍数、皮膚コンダクタンス反応(発汗を測定する) を計測します。

実験の結果、表情について何の指示も与えない条件の実験参加者に比べ、気合の入ったスポーツ選手の表情をマネしてもらう条件の実験参加者のほうが、パズルを解くパフォーマンスが良くなることがわかりました。この差は最大で19.6%となりました。

気合の入ったスポーツ選手の表情をマネしてもらう条件の参加者の皮膚コンダクタンス反応は低下し、この表情は、集中力を高め、作業記憶を促進する可能性があると考察されています。頭を使う作業を行うとき、意識を集中します。この集中力チャージが「表情を意図的に作ることを通じて」できる、ということです。これがフェイシャル・フィードバックの効果です。

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