【更年期障害】治療で「がんのリスク」は上がるか 家族が苦しんでいる時にどう対応するとよい?

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ホルモン補充療法には、大きく2種類の投与法がある。1つはエストロゲンとプロゲステロンを同時に補充する「持続的併用法」。もう1つはエストロゲン単独で10〜14日間、エストロゲンとプロゲステロンの両方を10〜14日間投与し、5〜7日間休薬する「周期的併用法」だ。

「持続的併用法のほうが簡単ですが、投薬を始めて何カ月かは不正出血が続くことがあります。閉経前や閉経直後などで不正出血が多い場合は、出血が起こりにくい薬に変える、または周期的併用法に変えるという方法を取ることがあります」(牧田さん)

薬には、エストロゲンとプロゲステロンの両方を配合した飲み薬(エストラジオール・レボノルゲストレル錠:ウェールナラ)とシールタイプの貼り薬(エストラジオール・酢酸ノルエチステロン経皮吸収型製剤:メノエイドコンビパッチ)がある。

そのほか、それぞれのホルモンの飲み薬、エストロゲン単独の貼り薬(エストラジオール経皮吸収型製剤:エストラーナテープ)とジェルタイプの塗り薬(エストラジオールゲル剤:ディビゲル、エストラジオール外用ゲル剤:ル・エストロジェルなど)もある。

「貼り薬や塗り薬のいいところは、内服薬と違って肝臓に負担がかからない、副作用の1つである血栓のリスクが下がるという点です。貼ったり塗ったりする部位を変えれば、かぶれる心配も少ないでしょう」(牧田さん)

ホルモン補充療法のやめどき

ホルモン補充療法は、いつまで続ければいいのだろうか。実際にホルモン補充療法を行っている人からも「やめどき」がわからないという声がある。

「これは非常に難しい話で、何歳まで、何年までという明確な決まりはありません。普通、遅くとも60歳ごろには閉経してエストロゲン値が低下した状態になりますが、患者さんの意思次第で続けてもやめてもいいと思います。ホルモン補充療法を一度やめてみてつらい症状が出たら、再開することもできます」(牧田さん)

エストロゲンを補充することで、肌や髪のつやの維持、骨粗鬆症や動脈硬化の予防、コレステロール低下などの副次的な効果も期待できる。ただし、副作用がないわけではない。

「頻度は高くないものの、不正出血、乳房の張りや痛み、胃のむかつき、ごくまれに血栓症が起こることも。とくにBMI25以上の肥満度の高い人、喫煙をしている人は血栓症のリスクが高くなります。それから、現在または過去に乳がん、脳血栓症、肺血栓症などにかかったことのある人は、ホルモン補充療法を受けることができません。あとは血圧や血糖がコントロールできていない人は、そちらの治療が先になります」(牧田さん)

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