【更年期障害】治療で「がんのリスク」は上がるか 家族が苦しんでいる時にどう対応するとよい?

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「血液検査で更年期障害ではないことがわかった例としては、めまいや動悸が主な症状で受診された方が実は鉄分の値が低く、月経時の出血量が多い過多月経による重い貧血だったケースがあります。そのほかにも寝ていてもだるいと受診された方ではカルシウム値が非常に低く、そこから副甲状腺機能亢進症がわかったケースもありました」(牧田さん)

こうして他の病気がわかった場合は、その病気の治療を行うことになる。一方、更年期障害と診断されて治療を行う場合は、「ホルモン補充療法(HRT)」が第1の選択肢になる。

女性の更年期症状は、エストロゲンの分泌量がゆらぎながら減っていくことで生じる。そこで女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)を補うことで症状を緩和する治療がホルモン補充療法だ。

牧田さんによると、とくに顔のほてりや上半身の発汗、ほかの病気によるものではない関節痛や手指のこわばりなどの症状がある場合、または確実にエストロゲン値が下がっている場合ではホルモン補充療法を行うことで、それ以外の症状まで改善するケースもあるという。

「ホルモン補充療法」でがんのリスクは上がる?

ところが、ホルモン補充療法は「怖いもの」というイメージを持っている人も少なくない。それは過去に“子宮体がんと乳がんになるリスクが上がる”と言われていたからだ。

「確かに、ひと昔前のホルモン補充療法では、エストロゲンを単剤で何年も投与していたために子宮体がんのリスクが上がりました。現在ではプロゲステロンを一緒に投与することで、そのリスクは非常に低くなったといえます」(牧田さん)

一方、乳がんのリスクについてはどうなのだろうか。

「以前、ホルモン補充療法を5年以上行うと、統計学的には乳がんが増えるという指摘がありましたが、ごくわずかです。ただ、閉経して10年が経った60歳頃からホルモン補充療法を開始すると、乳がんや血栓症のリスクが高まることがわかっています。40代からずっとホルモン補充療法を続けた場合は必ずしもリスクは高くないでしょう」(牧田さん)

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