がんになる原因には、遺伝や悪しき生活習慣が挙げられます。血のつながった家族が罹患したがんなら、自分自身も発症リスクが上がることが多いですし、喫煙や飲酒などの生活習慣も、さまざまながんの発症リスクを上げます。
しかし、実はがんの原因に「感染症」の割合が非常に多いことは意外に知られていません。なんと、がんになった4人に1人は感染症が原因とされています。
登録者数48万人超の人気YouTube「予防医学ch」を運営する現役医師でもある森勇磨氏。このたび『怖いけど面白い予防医学』を上梓した同氏がみなさんに知っておいてほしい「感染症とがん予防」を本記事でお伝えします。
「感染症」という言葉を聞くと、みなさんはなんとなく風邪や胃腸炎、はたまた新型コロナのように「急にかかって、短期間で治っていく」タイプのものが頭に浮かびやすいのではないでしょうか。
しかし、がんを引き起こす感染症はそれらとは違い、自身の存在を人間に明確な症状では伝えず、ひっそりと体内の臓器に対して悪さをしていく類のものです。
胃がんの原因になるピロリ菌
「がんの原因は感染症」と聞くと非常に恐ろしく聞こえますが、裏を返せばしっかりと対策を取れば、がんを未然に防ぐことができます。つまり、正しい知識を身に着けておくことがわが身を助けることになるのです。
では、一体どのようにすれば諸悪の根源となるウイルスを見つけ出すことができるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
まず、代表的なものが「ピロリ菌」です。
ピロリ菌は、衛生環境の悪い水を飲んだことなどによって感染します。体内に入れてしまったピロリ菌は、なんとも厄介なことに、食道を通過し胃にたどり着いたあと、強力な胃酸を中和してしまいます。こうして胃酸を無力化することで、そのまま胃の中で快適に生活を始めてしまうのです。
衛生環境が改善された現在は、若者のピロリ菌の罹患率は昔にくらべて格段に低下しましたが、こと明治・大正・昭和当時は衛生環境が十分なものではなく、井戸水や汚染された水からピロリ菌を体内に取り込んでしまうことが珍しくありませんでした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら