フェラーリ「プロサングエ」に見えた究極の境地 SUVルックで初の4ドアは走りも造形も桁違いだ

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ラゲッジスペースの容量は後席使用時で472Lを確保している。驚くほど広いわけではないが、フェラーリとしては過去最大級なのは間違いない。形状も、FFやGTC4ルッソのようにリアアクスルの張り出しがあったりはせず、大型スーツケースなども難なく収まる。しかも、必要に応じて後席を倒して広いスペースを得ることも可能だ。

なお、その際には単に倒すだけでなく、その前にバックレストの背後に挿入された脱着式の隔壁を外す必要がある。通常よりひと手間多いが、このバルクヘッドが車体後方からの騒音の侵入を抑えて、後席居住性を高めるのにひと役買っているのは間違いない。やはり後席は補助席のような扱いではないのである。

室内空間は、素材にも注目である。シート表皮にはレザーも、強靭なファブリックも用意される。さらに、リサイクルポリエステルを68%使った新開発のアルカンターラが、そしてルーフライニングもリサイクルポリエステル、カーペットには海から回収した漁網をリサイクルしたポリアミドが使われるなど、再生素材が積極的に採用されているのだ。こうした持続可能性への配慮は、世間のブランドイメージからすると意外だろうか? しかも当然、クオリティーには文句をつける余地などない。

重心の高さを意識させない走り

肝心な走りについても、やはり掛け値なしにすばらしい仕上がりとなっていた。それを実現させた要素を羅列していけばキリがないが、間違いなく貢献度が大きいのがフェラーリ・アクティブ・サスペンション・システムだろう。

これは48V電装系で駆動する電気モーターによって4輪の車高を個別に制御するもので、可変ダンピングシステム、そしてエアではなくコイル式のスプリングと組み合わされる。そのいちばんの恩恵はロールやピッチングといった挙動の抑制で、旋回中にはロール剛性を断続的に変化させ、かつロールセンターを下げることで、重心の高さを意識させない走りを可能にしたとうたう。

実際、左右ほぼ対称のデザインとされたコクピットでは、目線は高めながらシートとフロアの位置関係がほかのフェラーリと変わらず、最適なドライビングポジションを取れることも相まって、走行感覚はまさしく跳ね馬のそれ。前述のとおり車体は決して小さくはなく、重量だって2トンを軽く超える。なのに車体が大きく傾いたり、重さを意識させられたりといったこととは無縁の、意のままの操縦性を実現しているのは見事だ。これには軽くて強靭なボディー、49:51という優れた前後重量配分、後輪操舵システムなども貢献しているのは言うまでもないだろう。

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