フェラーリ「プロサングエ」に見えた究極の境地 SUVルックで初の4ドアは走りも造形も桁違いだ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これは至宝ともいうべきV型12気筒エンジンをフロントミッドに搭載するためであり、そのためキャビンは相対的にはコンパクトにまとめられている。全高はフェラーリとしては高いが、しかしいわゆるSUVとしてはきわめて低く、さらにそのフォルムは近年のフェラーリ各モデルに共通するエアロダイナミクスを重視し、その空気の流れを可視化したかのようなアグレッシヴな造形で、なるほど世のSUVとは一線を画すものといえる。

私個人としては、もう少し落ち着いた、エレガントなスタイリングでもよかったのになという思いもある。聞けば、社内にもそういう声がなくはなかったというが、フラビオ・マンツォーニが指揮を取るようになってからのフェラーリのデザインはきわめて好評であり、首脳陣も結局は「この路線でいこう」ということに落ち着いたのだそうだ。

フル4シーターで後席も快適に過ごせる

そして前述のとおりドアは4枚。リアドアはウィンドウフレームの隅に小さなノブが付いていて、これを軽く、少し長めに引くと後ろ側のヒンジを支点に79度まで大きく、電動で開く。つまり観音開きとなるのは乗降性への配慮からで、実際に後席へのアクセス性は悪くない。フロントドアについても、絶対的な前後長が2ドアモデルより短いうえに、フェラーリのほかのモデルより広い63度の開放角度を持つことから、やはり乗り降りは容易といえる。

走りにこだわりパッケージングを究めるならば、かつてマツダ「RX-8」がそうしたように、リアドアをさらに小型化し、センターピラーレス構造とする手もあったのでは。そう聞いてみたが、回答は「左右独立のバケットシートによる居住性含め、後席のゲストにも前席と同じような快適性を味わってもらうのがコンセプトであり、それは考慮しなかった」という話だった。

もちろんボディー剛性への配慮もあったに違いないが、フェラーリとしてもあくまで前席主体の2+2というよりは、フル4シーターという意識が強かったということだろう。実際に後席に収まってみると、着座位置が前席より高く、それでいて頭上にも想像した以上の余裕があり、快適に過ごすことができる空間となっている。さらに、シートヒーター、独立した空調も装備されているのだ。

次ページ荷物はどれだけ積めるのか?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事