自衛隊出身の精神科医がYouTubeに見つけた天職 東大蹴って防衛医科大学校に進んだ彼の生き方

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益田さんがYouTubeをはじめた当初、

「将来的に10人から15人くらいの人気のある精神科医YouTuberが現れるんじゃないか?」

と予想していた。

その中の1人になれたら、後々事業上で有利になるのでは? と考えていた。

現状として、YouTubeの効果はとても大きく、新規のお客さんはすべてYouTubeの動画を見た人だという。

千葉、神奈川、埼玉、栃木など、都内の病院に通うには少し遠い場所からも、足を運んでくれる人がいる。

「一時は、もっとガッツリとカウンセリングをやりたいと思い、心理士を雇ったりしていました。ただヒューマンマネジメントがうまくいかないなど問題が発生していました。

コロナ禍をきっかけにクリニックを小さくして、完全に1人でやれるボリュームサイズにしました。現在の患者数は600~700人ぐらいで、初診は基本的に断っています。来院しなくなる患者さんもいますから、そうしたら新たに初診を受け入れます」

1人で経営すると家賃料がちょっと割高になるというデメリットはあるが、

『ヒューマンマネジメントをしなくていい』『広告をかけなくていい』

『オペレーションが楽』

と何かと楽になったという。

オンライン自助会を始めた理由

「そのかわり、というわけではないですが、『オンライン自助会』を始めました」

自助会とは同じ問題を抱える人が集い、お互いを支援するグループのこと。アルコール、薬物などの依存症の人たち、難病や被害者などでグループが作られることが多い。

アメリカでは自助会の活動が盛んだ。映画でも、輪になって座りお互いの心情を吐露し合うシーンが描かれることも多い(『ファイトクラブ』の冒頭シーンなど)。

「その自助会をオンライン上でやろうという試みです。YouTubeをやっているとコメント欄を通して、人が集まってくるんですよ。せっかくできたコミュニティーなので、うまく活用したいなと思いました。

患者さん同士が集まってZoomやSlackといったコミュニケーションアプリを使って会話をしたりする場所を提供しています」

メンタルヘルスというと、精神科医に相談するというイメージがあるが、患者同士でコミュニケーションを取ることでも治療に期待できるのだろうか?

「医師や心理士としゃべるのもいいんですけど、それだけだと弱いんですよね。

自分の体験談や苦労した話をみんなで話すと、それがすごく治療になるんですよ。普通の治療よりも、効果があると思っています。

あと、すっかり病気が良くなった人が、社会貢献のために自助会に参加する、というのも良いと思います。

年取ったときの趣味って、旅行だったり、美味しいもの食べたりといろいろありますけど、『人や社会のために何かをやりたい』

という人は一定数います。僕は、結局それがいちばんの生きがいになると思っています。

近い将来、メタバース(仮想空間)での仕事が増えていき、1人が複数の会社で働く時代が来ると思います。そういうたくさんの仕事の中に1つ、

『ボランティアの会社』

も入れるのがステイタスになるのでは? と思っています。具体的には5~10年後には実現すると思っているので、今から準備しておけばスムーズに移行できるかな? と考えて作りました」

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