チェックリストは介護認定とは別に、介護支援が必要かどうか判断するための指標として活用されています。チェックリストは25項目からなり、「生活機能全般」「運動機能」「栄養状態」「口腔機能」「閉じこもり」「認知症」「うつ」のリスクを判定します。
この判定によって、支援が必要であると判断されたら、必ずしも介護認定を受けていなくても、在宅での生活を維持するための介護予防や生活支援サービスなどが受けられる場合もあります。詳しくは最寄りの地域包括支援センターに問い合わせてみてください。
さて、ここまでは介護保険サービスを利用する前段階のことを中心にお話ししてきました。
ご質問によると、現状では「介護認定が必要とまでは感じていない」ということでしたが、今後もっと困りごとや心配ごとが増えてきたら、介護保険サービスの利用を考えたほうがいいかもしれません。そのときのために、ここからは介護認定から介護保険サービスの利用までの流れをご説明しておきます。
認定を受けてもらうには?
介護保険制度による介護保険サービスを利用するには、まず要介護(要支援)認定を受ける必要があります。
高齢者のなかには、介護保険サービスが必要な状態にあるのに、「まだ自分には必要ない」と言い張る人もいます。頑として介護認定を受けまいとする高齢の親に困っているお子さんの姿も、時折見かけます。
そんなときには「せっかく今まで払ってきた保険料を、掛け捨てにしちゃうの?」と、お金の話に持っていくのも手です。65歳以上の場合、介護保険制度によって、介護保険サービスの自己負担額を、所得に応じて1〜3割に抑えられます。しかし同じサービスを介護認定なしで利用しようとすれば、自己負担額は10割となります。
「今まで保険料を払ってきているんだから、使えるものは使わないともったいない」と、現実的にかかってくる費用について話すことで、介護認定の必要性について、ある程度理解してもらえると思います。
もちろん、介護認定を受けまいとする親をどう動かすかといった相談は、地域包括支援センターでも乗ってもらえます。また窓口で聞いた話を、親にどう伝えるかという相談にも乗ってもらえるので、高齢の親とのコミュニケーションで困ったことや悩みごとがあれば、ためらわずに相談してみてください。
相談に行くまでは腰が重くても、一度相談に行くことで、その後のフットワークが軽くなる人がたくさんいます。小さな困りごとであっても、相談したいことが出てきたら、タイミングをはかりすぎずに、まずは窓口に行ってみましょう。
無理に先々のことまで計画を立てようとしなくても、「次の一歩」の選択肢を知るだけでも大きな参考になると思います。
何より相談しないことには、解決策はなかなか出てきません。まずは、ご質問に書かれているような率直な現状を窓口で話してみることで、きっと道が開けるはずです。
(構成:ライター・松岡かすみ)
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