10年続く「孤独のグルメ」マンネリ化しない必然 原作者の久住さんにドラマの裏側を聞いた
グルメドキュメンタリードラマというジャンルを確立した「孤独のグルメ」が10周年を迎え、2022年10月から12月には、シーズン10が放送された。知らない街の名もない飲食店との一期一会の出会いを描く本ドラマは、1人で食事をする「孤食の時代」を先取りするとともに、誰もの生活のなかに“食のドラマ”があるという、食を楽しむ新しい文化を作った。
どこにでもありそうな街の飲食店にふらりと入り、特別ではないふつうの料理を探す主人公の姿は、グルメサイトの星の数でおいしい店を探すのが当たり前の時代へのアンチテーゼでもあるのかもしれない。主人公がおいしそうに食べる様子に共感する人たちも続出し、長く愛されるドラマになっている。
流行り廃りの激しいエンターテインメントシーンにおいて、本ドラマが10年続く背景には、原作者でありドラマ制作にも携わる久住昌之氏の飲食店への思いと「お店も人も街もすべてが料理の味になる」という哲学がある。久住氏に話を聞いた。
主人公がおいしそうに料理を食べる姿に共感
2012年1月にテレビ東京の深夜ドラマ枠でひっそりスタートした「孤独のグルメ」。輸入雑貨商を営む主人公・井之頭五郎(松重豊)が営業先で見つけた食事処にふらりと立ち寄り、空腹を満たす至福の時間を描くドラマだ。
ドラマの中には、実在の飲食店とメニューが登場する。それぞれの街の飲食店の店主や店員、ときには客たちのストーリーをドラマとして描きながら、主人公がおいしそうに料理を食べる姿と結びつける構成は瞬く間に人気を博し、グルメドキュメンタリードラマという新たなジャンルを確立した。
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